坂本龍一との合作から、生前最後の作品まで
かっこいい生涯を全力で駆け抜けた清志郎
「山のふもとで犬と暮らしている」RCサクセション
作詞・作曲/忌野清志郎
1985年リリースのアルバム『HEART ACE』収録
RCサクセション全盛期の1980年代半ばに発表された曲だが、清志郎が実際に作ったのは、バンドが低迷してまったく仕事がなかった1970年代なのだそうだ。
孤独と不安に苛まれながら何もすることがなく、足元に転がる雑種の犬に対して「心配事は何もない おまえにだけは」と語りかける。
虚空を漂うようなメロディに乗せ、不安定で掻き乱されるような心情を訥々と歌い上げる清志郎の歌声が魅力的だ。
犬と山の中を駆け回る明日のことを思いながら眠りにつく清志郎。
今の世も将来に対する不安だらけだが、こんな諦めの境地も悪くないのかもしれない。
「激しい雨」忌野清志郎
作詞・作曲/忌野清志郎・仲井戸麗市
2006年リリースのアルバム『夢助』収録
忌野清志郎、生前最後のスタジオ録音アルバムに収録されている一曲。
「誰もが見守ってる 世界は愛し合うのか
Oh何度でも 夢を見せてやる
Ohあの夏の 陽焼けしたままの夢
RCサクセションがきこえる
RCサクセションが流れてる」
盟友であるギターのCHABO(仲井戸麗市)の勧めで、ためらいつつも“RCサクセション”という言葉をサビに置く歌詞を作った清志郎。
世界は再び愛し合うのか、誰もが見守っている。
反戦歌でもなんでもないんだけど、今、心に響く歌詞である。
「い・け・な・いルージュマジック」忌野清志郎+坂本龍一
作詞・作曲/忌野清志郎・坂本龍一
1981年にシングルとしてリリース
「他人の目を気にして生きるなんて クダラナイことさ
ぼくは道端で 泣いてるこども」
もはや、多くを語る必要もない。
人の目も気にせず人生を駆け抜けた、かっこいいアニキ達だったな。
改めて、どうもありがとう。
文/佐藤誠二朗