逮捕前、警察は何を把握していたのか
さらに、明石署の捜査に一層疑問を抱かせる事実をA子さんが証言した。
「るなが逮捕される前に、明石警察署の刑事とβ市職員がイベントに参加した利用者さんの親御さんに連絡をしてきて、『おたくのお子さんがバレンタインイベントで(るなさんと同時に逮捕された)Bさんから暴行されたのではないか』と聞いてきたというのです。
その親御さんは即座に『そんなことはありません。うちの子は楽しんで行ってるし、そんなことは見たことも聞いたこともありません』と否定したそうです。そのことを、るなとBさんが逮捕された後に親御さんが私に教えてくれて、私は警察に『その親御さんに聞いてもらえれば暴行なんかなかったと分かってもらえる』と訴えたし、親御さんも警察に電話をしてくれています。
るなたちはそれでも釈放されなかったんです。この話は、るなたちの今回の嫌疑とは別ですが、るなと一緒に逮捕されたBさんが同じイベントで別の暴行をしたとの嫌疑が出たけれども否定されていたわけです。ならばXさんへの虐待があったという話も疑ってみるのが当然じゃないですか」(A子さん)
10月21日の口頭弁論を終えたA子さんは、会見を開いた。潔白を訴える思いから上下白のスーツに身を包み、「事実を認め、責任に向き合い、娘に謝ってもらえれば私は許します」と口にした。
さらに向井弁護士は「バレンタインイベントは利用者の保護者もたくさん参加していたので、ほかのお子さんへの虐待があればすぐに分かるし、起こり得る環境ではなかったです」と話す。
逮捕前にどのような捜査をしたのか、最近兵庫県警幹部は地元メディアに「正当な取材だった」と話しており、β市は集英社オンラインの取材に質問も聞かずに「一切お答えしない」(幹部)としか言わない状態だ。
県と国は弁論で、捜査の違法性や死亡との因果関係を否定し、るなさんが被った損害もないという趣旨を主張する書面を提出した。
また、兵庫県警幹部は釈放時の体重についても「原告側が言う数値とは違う」と争う姿勢を示している。
任意同行から逮捕、勾留と延長、留置施設での健康管理のすべてが違法だったと訴える弁護側は、「るなさんが身体拘束を受けた18日間に何があったのか、その記録は捜査機関の手元にある。捜査が適法、適正であったと主張するのなら、根拠となる資料をもって明らかにすべきだ」(佐々木弁護士)と求める。
るなさんが残した被疑者ノートには、「その日の取調べの全部」が録画されたという項目にチェックが入れられた日が複数ある。16歳の命がなぜ失われたのか。解明するためには、体調に異変が起きた勾留中の記録を明らかにすべきだろう。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













