空虚なミーム 届かぬ願い

「Any press is good press」という格言がある。日本語では「悪名は無名にまさる」だろうか。それがどのような内容であっても、政治的意図があろうとなかろうと、トランプという記号はインターネットを通じて多くの人の意識へと流れていく。

自身がお安い“ネタ”としてオンライン空間に漂っていることは、トランプには単なる追い風としか感じられないらしい。7月、彼は「私がTikTokで人気ナンバーワンだ。何十億もの人がトランプを見ているんだ!」などと満足気に発言していた。

自らの”ネタ化”にもご満悦な様子のトランプ大統領だが…
自らの”ネタ化”にもご満悦な様子のトランプ大統領だが…

ミームの裏にある絶望や真の思いは、彼にはおそらく届いていない。

「大人たちはZ世代に対し『スマホでくだらない動画ばかり見ている、甘えた子供たち』というレッテルを貼りがちです。しかし、私には現代の若者が過去の若者よりずっと賢いと感じるんです。あまりにも多くのことをわかっていて、身動きできないほどに」と、ルービン教授は話す。

「必要なのは、若者を批判することでなく、話を聞くことです。若者は自分たちがネット上でどう批判されているかを知っており『話を聞いてもらえない』と感じています。これは、社会への恨み、政治への絶望につながります。若者の思いを受け入れ大人自身が変わることができたのなら、未来を変えていけるはずです」

トランプを“ネタ”として消費するZ世代は、投票ではどのような選択をするのか。その一票は、米政治の行方にどんな影響を及ぼすのだろうか。米中間選挙は11月3日に行われる。

文/長橋梢萌