「お笑い」と化す米政治
「トランプだけではありません。前大統領のバイデンだって、若者の笑いの対象でした。彼らにとっては、米国の政治自体がジョークのごとく『めちゃくちゃ』なのです」と話すのは、モントクレア州立大学のガブリエル・ルービン教授だ。
同教授は、2022年からZ世代を中心とした若者を対象に計113件の聞き取りを実施し、彼らの社会や政治に対する意識調査を進めてきた。調査では、若者が米国の機能不全ぶりに苛立ち、強い不信感を抱いていることが明らかになった。
「学校では銃乱射の脅迫や虚偽通知にさらされる。物価高により将来を見通せず、就職口はAIに奪われ、公的医療サービスもない。気候変動で死ぬかもしれない。にもかかわらず、それらを解決するための政府は他国を爆撃するためにお金を投じている。
自分たちのリーダーは、共通点を見いだせないほど年の離れた老人です。若者はそれらの情報を、スマートフォンで四六時中浴び続けています。過度に冷笑的になるのも当然です」
米国の若者の抱える不満や無力感は、オンライン上でトランプが親しまれる理由にもなるとルービン教授は指摘する。
「ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)に則った『人を不快にしない』コミュニケーションに窮屈さを感じる若者にとっては、トランプの基本である『人を不快にする』スタイルが魅力的に映ります。
単なる口調の問題ではありません。彼の基本姿勢そのものが、権力を発生させる機能を持っています。トランプの横暴さや単純さに触れるとき、人は世界の複雑性や他者への配慮から解放され、力を感じることができるのです」













