ロシア政府関係者「日本の対応は見越している」
高市政権は、ロシアを動かすだけの圧力をかけているのか。
外務省は14日、駐日ロシア大使を呼び出して抗議し、速やかな面会を求めた。高市早苗首相も15日、スパイ活動について「そのような事実はない」と否定した。だが、釈放を拒み続ければロシアが何を失うのか。政府は、その具体的な代償を示していない。
ロシア政府関係者は、日本の対応がどこまでにとどまるかを見越しているという。厳しい言葉で抗議しても、自らも負担を負う措置には踏み込まない。その見立てを補強したのが、これまでの対ロ政策だった。
プーチン大統領の択捉島訪問などで関係が悪化する中、日本政府が10月2日に決めた追加制裁には、石油輸送を担う「影の船団」35隻への規制が盛り込まれた。
だが、対象の船は、日本で修繕したり、日本の港に寄ったりすることがほとんどないとみられる。日本の保険や融資などを使わずに運航しているなら、日本が取引を規制しても石油輸送は続けられる。
日本政府関係者は、今回の措置をこう評する。
「何もやらないわけにいかないから、やっただけの苦肉の策。ロシアにとっては痛くもかゆくもない」
ロシア外交筋「日本は圧力をかければ譲歩する相手」
一方で、日本自身が天然ガスを買う、エネルギー開発プロジェクト=サハリン2の権益は維持する。ロシアの収入を断つと言いながら、自らの調達には手を付けない。日本自身が痛みを負う措置を避ける姿勢を、モスクワは見透かしているのではないか。
サハリン2からの撤退や、ウクライナへの地対空ミサイル「パトリオット」の供与にまで踏み込めば、ロシア側の計算を変える可能性がある。実現には日本側の負担や制度上の検討を伴うが、それだけに政治的意思を示すことにもなる。
ロシア外交筋によれば、モスクワは日本を、「圧力をかければ譲歩する相手」とみているという。問われるのは、抗議の語気ではなく、相手の計算を変える意思である。
刑事手続きが進めば、救出交渉は一段と難しくなる。
米紙ウォールストリート・ジャーナルのゲルシコビッチ記者は2023年にロシアで拘束され、翌年、懲役16年を言い渡された。同年8月に解放されたのは、無罪が認められたからではない。米国とドイツなどが協力した大規模な身柄交換によってだった。
ロシア側には、ドイツで服役していたクラシコフ受刑者や、米国などで拘束されていたロシア人らが引き渡された。米国は同盟国の協力を取り付け、モスクワが欲しがる人物を含む交換をまとめたのである。













