日本政府、高市首相に交渉できる力はあるのか
日本に同じ交渉ができるのか。現在、日本がロシアに交換を決断させるほど重要な情報機関員を拘束しているとの情報は、公には確認できない。
日本は今年5月、ランサムウェア集団「Qilin(キリン)」の関係者とされるロシア人を大阪で拘束したが、10月2日にドイツへ引き渡した。ロシア政府関係者は、この引き渡しにFSBが激怒した可能性があると指摘する。
ただ、両事件の関連は確認されていない。ロシアがこの人物の奪還を望んでいるかも分からない。仮に交換を模索するとしても、身柄は既にドイツにあり、日本単独で交渉材料にはできない。ドイツの協力が不可欠になる。
ゲルシコビッチ記者の解放も、多国間交渉によって実現した。日本にも、米国や欧州を巻き込み、ロシアを動かす条件を組み立てる外交力が問われる。
訪米してトランプ米大統領との親密さを演出してきた高市首相なら、仲介を頼むくらいはできるだろう。その関係が邦人救出に役立つのか、今こそ示すべきだ。
ただし、トランプ氏が日本のために動く保証も、ロシアが応じる保証もない。日本人の自由が米ロ間の取引に左右される事態は、当然としてよいはずはない。
交換を伴わない政治判断による解放も、追求すべき道だ。有罪判決後であれば、大統領の恩赦という手段がある。日本政府関係者によると、モスクワの日本大使館は記者の解放に向けた働きかけを続けており、まずはプーチン大統領の恩赦を得ることを最優先に考えているという。
問題は、プーチン氏に解放を決断させる条件を、日本がつくれるかである。
戦争終結や政権の変化が、道を開くこともあるかもしれない。だが、いつ訪れるか分からない変化を待つ間も、この記者の時間は失われていく。
対話の窓口を維持する外交も、同盟国と親密さを誇る外交も、国民を取り戻す力につながってこそ意味がある。記者を拘束した責任はロシアにある。その理不尽から国民を救い出す責任は、日本政府にある。
文/集英社オンライン編集部













