「演奏の余韻も含めて音楽をお楽しみいただきたい」

こうした問題に対し、楽団やホール側にできることはあるのだろうか。A氏はこう語る。

「楽団やホールは、この手の問題をよく把握されていて、注意喚起をしていますし、そのレベルは充分というか、時にウザいくらいです。ですから、彼らにこれ以上を求める気はないです。

ただ、いくら何を言われても理解できない方々や、理解しても受け入れない人も一定数います。敢えて期待することがあるとすれば、その手の方にはチケットは売っていただきたくないですし、出禁にしてほしいくらいです」(A氏)

では、楽団側はこの問題をどう受け止めているのだろうか。東京交響楽団の広報担当者に問い合わせると、次のような回答があった。

東京交響楽団の本拠地であるミューザ川崎シンフォニーホール(PhotoAC)
東京交響楽団の本拠地であるミューザ川崎シンフォニーホール(PhotoAC)
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「10月11日のサントリーホール公演では、ショスタコーヴィチ《交響曲第10番》の最後の音が鳴り終わった直後、客席から掛け声があったと認識しております。

当団では、演奏の余韻も含めて音楽をお楽しみいただきたいとの考えから、2012年頃より、プログラム冊子への掲載や開演前のアナウンスを通じて、皆様にご案内してまいりました。

今後も、こうしたご案内を通じて、お客様とともに演奏の余韻や感動を会場全体で共有できる環境づくりに努めてまいります」

同楽団では、ホームページにも「コンサートマナーガイド」を掲載し、複数のマナーについて呼び掛けている。その中には、「曲の余韻も演奏のうちです 音が消えゆく余韻を十分に感じてから拍手をお送りください」と明記されている。

近年、こうしたマナーの呼び掛けは、オーケストラに限らず、コンサートホール側も行なっているケースが目立つ。

いかなる芸術も、観客がいて成り立つものだ。演奏者への敬意はもちろん、同じ場で音楽を味わうほかの観客への配慮も、コンサートを楽しむうえで欠かせない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班