「本当はもっと一緒に遊びに行きたかった」

——隼都くんもアウトドア好きだった?

いつもは海にも隼都を連れて行ってたんですけど、同室になった子が海に行くくらいならずっとゲームしてたいってどこにもついて来ないから、来たばかりの子を一人にするわけにもいかなくて、隼都も一緒に留守番してもらってたんですよ。だから去年の4月からの写真には全然、隼都が写ってなくて寂しいです。
本当はもっと一緒に遊びに行きたかったですよ、4年も一緒にいますから。

それに小学生や中学生の子も隼都と仲いいから遊びたいわけですよ。それが急に留守番役になって、隼都が失踪してなんでこうなってしまったんだろうって家族みんなで考えていた時に、子どもたちは隼都ともっと遊びに行きたかったんだよねって。

――留学生に「お父さん」「お母さん」と呼ばせていたのは本当ですか?

そんなルールないし、自由ですよ。隼都のように「お父さん」と呼ぶ子もいれば、僕のニックネームに「パパ」をくっつけて呼ぶ子や「父」と呼ぶ子もいたり。最初は声をかけづらかったら「ねぇ」って呼ぶだけでいいよと言っているので、みんな自然と自分なりの呼び方をするようになるみたいです。

――朝の挨拶で声が小さいと叩くことがあったのですか?

そんなことで叩くとか怒るとかありえませんよ。ただみんなに「凡事徹底」の言葉と意味はよく聞かせてましたね。
おはようの挨拶を言えない子もいるじゃないですか。だから学校の行き帰りとか、島で人に会ったら挨拶しましょうって。壱岐では横断歩道はみんな手を上げて渡るし、高校生でも挨拶して歩いてるんですよ。
そういうのをちゃんとできるようにということです。これって何しに留学に来てるのかという話につながるんですよ。親元離れて自立するとか、そういう気持ちでしょと。

――やっぱり留学に来る子どもたちは、複雑な生い立ちだったり、心が不安定な子が多いんですか?

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「いきっ子留学制度」HPより

色々いますよね、不登校だったとか、周りに馴染めないとか。うちにはまだいないけど、心の面で危うい子も増えてきてるそうで、そういう子たちの舵取りはすごく考えさせられますね。
実は中学生から留学していて高校生になってもそのまま壱岐に残ったのは隼都が第1号なんですよ。

――湯船に浸からせてもらえず、許されていたのは5分間のシャワーだけだったというのは事実ですか?

逆にこっちからその子にもちゃんと風呂入れよって言ってましたよ。多分ゲームがしたいからでしょうけど、ほんとすぐ出てくるんで。高校生にもなったら汗臭くなるんだからちゃんと入らないとモテないぞって言って。男子にはみんなちゃんと入れって言ってましたね。