いつもの“團子ちゃん”が戻ってきたとファンは安堵

事件後に猿之助は「前日に家族会議を行い、一緒に死のう、ということになった。両親が薬を飲んで意識がなくなったことを確認し、頭部にビニール袋をかぶせた」と供述していると報じられたが、室内からは、薬はおろか、薬の瓶や包装などの残骸や、ビニール袋も発見されておらず、事態は混迷を極めている。
“事件”発生から6月18日で1ヶ月。猿之助が「大黒柱」として支えていた澤瀉屋一門はどうなっているのか。

舞台関係者が話す。

「6月3日に幕を開けた『六月大歌舞伎』では、約1年前に『ブラ剥ぎ性加害報道』により表舞台を追われた市川中車さん(57)が久々に主役として歌舞伎座へと戻ってきました。
昼の部『傾城反魂香』で主人公である絵師の浮世又平を演じた中車さんは、見事な日本舞踊と唄を披露し、『休みの間に相当な稽古を積んだに違いない』と観客をうならせていました」

六月大歌舞伎(撮影/集英社オンライン)
六月大歌舞伎(撮影/集英社オンライン)
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舞台では、中車(香川照之)の息子で、事件発生後に東京・明治座での「不死鳥よ波涛を超えて―平家物語異聞-」で見事に猿之助の代役を務めた市川團子(19)も主人公・又平の弟弟子・修理之助の役で登場。

「明治座の代役の時には、猿之助さんが乗り移ったような鬼気迫る演技ぶりで、ちょっと怖いぐらいだったのですが、今回の舞台では、主人公のライバルであり弟弟子である若い絵師を演じており、そのスッキリとした佇まいと若さあふれるみずみずしい演技ぶりで、ようやくいつもの“團子ちゃん”が戻ってきた、とファンを安堵させていました。加えて四代目の代役として起用された中村壱太郎(32)が大活躍。演目としての出来上がりも非常によく、客席からは拍手喝采。連日の満席です」(ベテラン演芸記者)

「雨降って地固まる」といったら不謹慎ではあるが、“最大の危機”を乗り越え、より結束が強まったかのように見える澤瀉屋一門。だが、別の舞台関係者は「そう楽観視はできない状況だ」という。

「事件発生直後はその話題性と、まだ年若い團子くんが、たった2日間の稽古で代役を演じたということで世間の話題をさらい、今月は、一線を退いていた中車さんが久々に主役を演じるということで注目された。また、来月は、猿之助さん不在の舞台で中車さんが猿之助さんの代わりに主役を演じ、人生初という宙乗りまでするというので、すでに話題となっていますが、その後には『目玉』となるトピックがない。ポーカーなどで手持ちのカードをどんどん出してきている状況で、もう切るカードがなくなってきている」

宙乗りに挑戦する中車(共同通信社)
宙乗りに挑戦する中車(共同通信社)