團子の驚異の歌唱力の秘密は?

「團子くんは、最後のほうこそ声が少し枯れてはいたものの、セリフや殺陣、ダンスなども完璧にこなし、最後のヤマ場である宙乗りでは、観客の視線を一身に集めていました。
その姿やセリフ回しなどが『三代目(市川猿之助、現猿翁)に似ている』と、古くからの観客も感動のあまり号泣していたほどです」(ベテラン演芸記者)

会場にはすすり泣く声が響き、その興奮は幕が下りてもおさまらず、7分ほどの長さにもわたって拍手が鳴りやまなかったという。
團子の“すごさ”はそれだけにとどまらない。彼が底なしのポテンシャルを見せたのは「歌」だったという。
前出の演芸記者が言う。

「この演目は、宝塚歌劇のレビュー(歌とダンスで構成された舞台)を取り入れたものなので、歌を披露するシーンがあるんです。
澤瀉屋では三代目の教えとして『代役もすぐにできなければいけない』というものがあり、普段から猿之助さんの稽古を熱心に観ていた團子くんだったら、歌舞伎の動きであればある程度までは出来るであろうことは予想できた。

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子供時代の市川團子

しかし、「歌」に関しては、一朝一夕ではいかない。それを團子くんは、たった一日の稽古、しかも通し稽古もできないなかで見事仕上げてきたのです。
観客の中には『四代目(現市川猿之助)の舞台も観たけれど、歌ではすでに当代を超えた』という人もいたほどです」

その“驚異の歌唱力”はどのように育まれたのだろうか。
昔からの一家の知人が言う。

「團子ちゃんは幼い頃から踊りに加え、長唄や太鼓などの鳴り物も熱心に稽古していたからリズム感がある。それに高校在学中にはバンドを組み、文化祭でメインボーカルとして活躍するなど、もともと歌は得意だったんです」