代役の團子、死んで生まれ変わる名演にファンも演者も涙… 

一方、大黒柱を失った東京・明治座の「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」は、猿之助のいとこである市川中車(香川照之)の息子・市川團子(19)が健気に代役を務める姿に、ファンの間では大きな盛り上がりを見せていた。。
20日の昼の部が終わると、会場から出てきた客は目を真っ赤に泣き腫らしたり、ハンカチで目元を拭う人が目立ち、60代の女性客もこう目を潤ませた。

「猿之助さんが大変な状況で、急に代役だなんて。まだ19歳なのに重い役目を背負うことになってしまって、とても心配でした。ましてやチケットも完売して満員ですからね。でも舞台が始まると、台詞回しなんかは稽古時間の足りなさを感じつつも、急遽決まったとは思えないくらい芝居にも迫力があり、涙する観客がとても多かったです、私も思わず涙ぐんでしまいました。
團子くんは歌う場面からの登場でしたけど、とても長く大きい拍手が続いたのが感動的でした、観客みんなで見守って応援してるんだよって気持ちが表れていたと思います。團子くんなら立派に澤瀉屋を背負っていけると思いました」

明治座(撮影/集英社オンライン)
明治座(撮影/集英社オンライン)

他にも聞く人聞く人、團子フィーバーに酔いしれる客ばかりだった。

「團子ちゃん本当に一生懸命で、猿之助さんに負けないくらいよかったですよ。昔から澤瀉屋は見てますけど、最後の死んで起きる場面なんかは、3代目の猿之助さんの面影を感じましたね。身長も高いので、もう少し体格がよくなったらさらによくなるでしょう。まだ19歳だから、この先楽しみです」(60代女性)

「元々猿之助さんを見るためにチケットを取っていたのでキャンセルしようか迷いましたけど、実際に見たら團子さんをこれからも応援しようと思いました。自分から身を投げて不死鳥になるというお芝居の内容と今回の状況がかぶっていたせいもあってか、観客はみんなすすり泣いてましたよ。

二つ目の緞帳が降りて、退場のアナウンスが流れても拍手が鳴り止みませんでした。團子さんはまだ年齢も若いし、時間もなかっただろうに、それでもどうして、いいお芝居でしたよ。歌で始まって最初は緊張気味に感じましたけど、演技に入ると見入ってしまいました。前半の恋人との別れでの叫びが本当に心に響きましたね。今回は歌舞伎というよりストーリー性に胸を打たれました」(60代女性3人組)

「團子ちゃんめちゃくちゃよかったです、その一言に尽きます。猿之助さんを意識してでしょうけど、セリフ・間・口調が似ていて、感情移入してしまって涙腺がやられてしまいました。10年後がさらに楽しみですね。父の中車さんはもう越えてますよ(笑)。

2年くらい前に染五郎さんと團子ちゃんが三社祭で踊ってるのを見たんですけど、その時に比べて大きくなって、演技も磨きがかかって圧巻でした。團子ちゃんも演者さんたちもみんな泣いていて、涙で目がキラキラしていたのがオペラグラス越しにもわかりました。普段歌舞伎で演者さんが泣くなんてないんですよ、よく泣くのは中村勘九郎さんくらいですよ。死んで生まれ変わるという内容が今回の事件とオーバーラップして、どんな想いでみなさん演じたんだろうって思いますね。短い時間でここまで作り上げた團子ちゃんは根っからの歌舞伎役者だと感じました」(60代女性)

ここまで絶賛された代役の團子はもはや、五代目猿之助を約束されたといっても過言ではないかもしれない。実際、猿之助は團子にかなり目をかけていたという。
松竹関係者が語る。

「團子を可愛がっていて、猿之助の名前を継がせようとしていたのは有名な話です。高校卒業後はカナダの大学に留学しようとしていた團子に『東京に残って勉強したほうがいい』と都内の私立大を勧めて演出も学ばせています。團子の父親でありいとこの中車とは昔から距離があり、去年、銀座のスキャンダルが発覚したときもフーンって冷たい感じでしたけどね」

明治座(撮影/集英社オンライン)
明治座(撮影/集英社オンライン)
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警視庁は22日より本格的に猿之助さんより事情を聞いていく予定だという。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班