自分に従ってくる人間に対して
傲慢になってしまったのかも
たしかに、ここまで渋好みの少年にしてみれば、男友達とアイドルの話題で盛り上がるのはしんどいことだったのかもしれない。それよりも趣味や話題の合う同級生との付き合いを深めていったようだ。前出の同級生が続ける。
「僕らの学校は幼、小、中、高一貫校ですが、たしか高校から入ってきたAってやつとキノシは仲良くなりました。彫りの深いキリっとした感じのイケメンで、社会人になってもタニマチのような関係にあり、ずっと仲良くしていたはずです」
別の同級生の母親はこう話した。
「猿之助さんのことは息子から聞いておりました。小学校の頃から朝6時から稽古をした後に学校に来て、放課後も帰ったらすぐに稽古という生活だったようです。それでも中、高時代の成績はクラス約40人中10位ぐらいと常に上の方でした。学校が順位をプリントにして配っていたのでそれは私も覚えています。稽古の合間に勉強するだけでその成績だったので、優秀だったということですね。ただし、ナヨっとした話し方というか、挙動もオドオドしていて、おとなしいグループに属していたみたいです。
もともと学校が芸能活動と勉学の両立を応援するような学校ですから、他にも目立っていた方はいて、そういう意味で猿之助さんは当時はそこまで目立つ存在でなかったのかもしれません。近い年代で言うと、有名演歌歌手の息子さんやベテラン女優の息子さんなども通っていました。ちょっと年齢は離れていますが香川照之さんも通っていましたよね。
猿之助さんがテレビなどで露出が増えてからは、高校時代の友達がイベントを企画して出演をお願いしたら快く引き受けてくれたという話も聞いています。同級生の間では評判がよく、こういうことを言うのは不謹慎かもしれませんが、こんなことになって可哀想だという方は多いと思います」
高校時代、目立たず寡黙で歴史好きだった少年は、卒業後、世間から注目を集めていった。2007年にNHK大河ドラマ『風林火山』で武田信玄を演じて以降、テレビドラマ、映画、バラエティ番組に多数出演するなど、活躍は歌舞伎界に留まらなかった。
ある同級生は繊細だった「キノシ」を振り返りつつ、冷静にこう語った。
「これは今になって思えばですが、あの頃の小学生が花を眺めるのは繊細というか独特な感性だったのかもしれませんね。パワハラやセクハラをするタイプには思えませんが、自分に従ってくる人間に対して傲慢になってしまったのかもしれません。
30代の頃に同級生で集まって飲んだときは、キノシは昔のナヨっとした感じが消え、凛々しさがでてきた。キノシは仕事で活躍するようになっていたし、昔は周りにいなかった同級生も『キノシ、キノシ』と湧き出るように集まるようになっていた。自分を取り巻く環境がガラッと変わり、勘違いするようになったのかもしれません」
猿之助の所属事務所は5月23日、公式サイトにて「一部報道にありましたハラスメントに関しましては、今まで猿之助に関わった複数のマネージャーに聞き取りをしましたところ、弊社管轄の現場において、そのような事実は現在出てきておりません。今後は弊社管轄内の関係各社現場に関しましても慎重に調査を進めていく次第です」とハラスメント報道を否定している。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班