1位はやはり悲劇のあのひと
1位 葵の上
光源氏の正妻で、4歳年上。左大臣の娘で子どもの頃から、天皇の妃候補として育てられたのでプライドが高く、物語のはじめでは光源氏とはなかなか打ち解けられない様子が描かれている。
光源氏に対してツンとした態度をとってしまうが、決して感情的にならず、光源氏が他の女性のところに通っても、その女性へ嫉妬したりすることはない。光源氏の親友で、きょうだいの頭中将も「彼女は理想的な妻だ」と評している。葵の上が妊娠し、つわりで苦しむ姿を見て、ようやく夫婦らしく寄り添うようになるが、六条御息所の嫉妬による生霊に苦しみ、出産後に亡くなってしまうという哀しいヒロイン。
こうしたなかなか素直になれない不器用なところが共感を呼んでいるのかもしれない。
「葵の上は源氏に対して冷たかったわけではなく、箱入り娘だから口下手で感情の表現が苦手だっただけだと思っている。突然結婚相手が変わって状況についていけず、振り回されて、うまく振る舞えなくて、どうしていいか分からず苦しかったはず。そんな彼女が不憫に思われて、魅力に感じる」(20代・女性)
「ツンデレなところ」(40代・男性)
などの不器用な愛情表現についてのコメントがあった。
NHK大河ドラマ「光る君へ」は3月10日の放送でようやく10話目を迎えた。吉高由里子演じる、まひろ(紫式部)はまだ宮廷に女房として出仕していないが、今後どんな風に源氏物語を執筆していき、それぞれの登場人物への思いなど描かれるかなどが楽しみだ。
取材・文/百田なつき