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少子化とともに衰退する五月人形やこいのぼり

食料品が値上がりすることに話題が集中すると、あらゆる食料品が値上がりしているように思える。しかし、過去10年間で見て、限られた品目ではあるが、値下がりしているものもある。

値下がりしている品目をリストアップして気がつくのは、それらが主に「和の食品」であることだ。茶飲料、もち、米類、納豆といった和の食材・食品で占められている。こんにゃくは、日本でしか食用にされない食材である。反対に、世界と需要がつながっている食材は軒並み値上がりしているのだ。

インフレ下でも「和の食品」が値下がりする中、梅干しの値段が1.5倍に上昇している理由_1
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「和の食品」は、人口減少、内需減退によって、値下がり圧力が生じている。日本独自で、世界に需要が広がっていかない「和」の文化は地盤沈下しているのが実情だ。これは日本文化全般に共通する傾向だ。

ジャパニーズ・アニメや、秋葉原のコスプレのカルチャーは、日本から海外に文化輸出されて、愛好者が何千万人にも広がっている。しかし、五月人形、こいのぼりや雛人形はどうだろうか。

東京都内には、かつて五月人形などを扱う問屋街が集積していた場所があるが、今そこはすっかり廃れている。これは、海外に需要拡大の活路を開くことを推進してこなかったために、少子化とともに産業が衰退しているのだ。

ほかにも、東京都内や横浜にも30年前は駄菓子屋や花火の問屋街があった。よく「日本文化が世界で人気だ」という話を聞くが、これは誰かが率先して需要の活路を切り拓いたから、今日の人気があるだけなのだ。米類、もち、茶、こんにゃく、納豆は、高齢化で内需が細った結果、10年間を通じて需要減=値下がりしているのだろう。