国内テーマパークの3割超が今年値上げ、原因は世界的な物価上昇

オリエンタルランドは今回の料金値上げについて、1日当たりの入園者数を抑制することで、平日と土日祝の繁閑差をなくし、快適なパーク環境を利用者に提供する目的があると発表している。

土日祝の料金が1万円を超えたことで客足が減少し、売上にマイナスの影響が出ることはないのだろうか。

「客数は減るでしょうが、むしろこれまでよりも売上高はアップするでしょう。値上げ後もディズニーに来るのは経済的に余裕がある層だと予想されるので、パーク内での飲食や土産品の購入などが今まで以上に期待でき、一人当たりの消費額が上がると考えられます。客数の減少分を客単価の上昇分が上回って、結果的に売上高は上がるのではないでしょうか。ちなみに、オリエンタルランドの想定どおり、入園者数の抑制効果があり、パーク内の混雑が緩和されて快適度が上がるはず。そうなれば体験価値の上昇につながりますので、顧客満足度も上がると思います」

いずれにしても、オリエンタルランドは殿様商売をしていたわけではなく、むしろ世界中がもっともっと値上げしているなか、企業努力をして比較的リーズナブルな料金設定にしてくれていたと考えることもできるようだ。

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では、世界基準で考えると適正価格であろう1万900円という額を、多くの日本人が「高い」と感じてしまう理由とは?

「日本人の経済感覚について掘り下げてみると、厚生労働省の調査によると、2021年の段階で年平均世帯所得は545万円で、過去10年の推移ではほぼ横ばいとなっています。しかし、社会保険料などの税金負担率は徐々に上がったため、その分手取り額が減少しました。昔と比べると裕福には感じられない人が多くなってきているのではないでしょうか」

また、テーマパークの料金値上げは、実はディズニーだけではない。森永氏によると「帝国データバンクの調査では、国内の主要レジャー施設全体の32%にあたる61施設が、2023年中に値上げを行っていることがわかる」という。

つまり、1万円超えというキャッチーさでディズニーが槍玉に上がりがちだが、値上げ自体はめずらしいことではないということ。同調査によると、値上げの主な理由として、電気代などのエネルギー価格の上昇が大きな影響を及ぼしたことが挙げられている。