少年は高校を自主退学。父が少年と最後に会ったのは?

――息子さんの面会には行かれていますか。

「それもなかなか行けてなくて、弁護士さんにお任せしてますので、あまり知らないところもありますが、なんとか反省して過ごしてるようです」

――ご近所のみなさんがご心配されていました。

「みなさん挨拶してくださり普通に接してくれて感謝しかないです。事件があってたくさんの人が来たのでだいぶご迷惑をおかけしてしまったのに……。本当になんであんなことになったんだろうと思います。命はかけがえのないものだと言い聞かせてきたのに足りなかったのかなとか思うところはあります」

「偏差値70台だ!」「来年は東大を受験するんだ!」…名門高生徒による共通テスト東大前刺傷事件から1年。少年はその後高校を自主退学。父親が語る面会時の様子とは。_5
少年の自宅
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――事件前日の息子さんの様子はどうでしたか。

「それがわからなくて……前日からいなくなってたもんですから家族で血眼になって探してたんですよ。いなくなる前も普通だったもんですから、本当何も変わらずで」

――18歳になった息子さんと成人の日に会えないのは辛いですか?


「そうですけど、やっぱりまずは被害者の方に早く回復していただきたいなって気持ちです、息子はその次ですね」

――ご家族の生活の状況や影響はどうですか?

「加害者側がこれを言ってはいけないと思いますが、全然元になんかは戻れてないです。まわりの目が気になったり、弟や妹が学校に行けない日もあったりとか。まだ小さいので、わかっていない部分もあって」

――お子さん達がお兄さんの状況をちゃんと理解してないんですか?

「面会には数回一緒に行ったりもしたんで多少は理解してると思いますけど」

――息子さんの様子はどうでしたか?

「元気ではなかったです。被害者の方に申し訳ない気持ちだと言ってました」

――いつごろのことですか。

「家庭裁判があった時(昨年6月)くらいに面会しました」

――最近は会われてないんですか?

「そうですね、手紙のやり取りはしてますので。すみません弁護士にも喋るなと言われてますので、失礼します」

祝日でスウェット姿の父親は、取材中何度も謝罪し、最後も深く頭を下げて子供たちの声がする家の中に戻っていった。

少年が通った東海高校の教頭は記者の取材にこう答えた

「少年はご家族の申し出により、昨年3月31日に自主退学をしております。面会や連絡は一切しておりません。事件から1年がたち生徒たちも今は落ち着いてきました、今後も生徒たちの心のケアに取り組むつもりです」

教頭によると、昨年、東京大学に合格した東海高校の生徒は26名、今年も多くの生徒が同大学の受験に挑むという――。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班