金容疑者が抵抗しなかった理由
今年1月25日、1970年代に連続企業爆破事件の重要指名手配犯、桐島聡容疑者とみられる男が名乗り出たことで、これについてメディアは連日報道。桐島容疑者の手配写真も再び注目を集めるなかで、その隣に配置されていたのが、2月1日未明に逮捕された金成行容疑者だった。
桐島容疑者は、末期の胃がんを患い、死を悟ったのか「最期は本名で死を迎えたい」と入院していた神奈川県・鎌倉市内の病院で自ら名乗り出る。そして、警視庁公安部によって身柄を拘束され本人確認が進められる最中に危篤に陥り、29日に死亡が確認された。
一方、金容疑者の逮捕は大捕物だった。2月1日未明、宮城県仙台市内のアパートの周囲を機動隊が包囲し、閃光弾まで使用されたという。
金容疑者は、2020年9月に長野県宮田村の飲食店駐車場で同じ絆會の幹部だった男の腹を拳銃で撃ち、重傷を負わせて逃走。長野県警によるとその後、フリーダイヤルに「仙台市内で似た人物を見かけた」という匿名の情報提供があり居場所を特定。機動隊に囲まれた金容疑者は抵抗することなく、身柄が確保されたという。
なぜ金容疑者は抵抗しなかったのか。関西を拠点とする指定暴力団の幹部はこう説明する。
「ヤクザが逮捕されるときに抵抗しないのは、起こした事件が“勲章”になるからだ。抗争相手を襲撃したり、組織のために身体をかけることはヤクザにとって勲章だ。相手をやっただけでは勲章にはならず、実行犯として逮捕され、実刑を受けて懲役に行くことで勲章になる。
抗争事件などで自分が犯人だとヤクザが自首するのも、それが勲章になるからだ。逮捕されなければ容疑者か逃亡犯で終わり。それではせっかくの勲章も中途半端になるから、逮捕されるのに抵抗する必要はないんだ」(幹部)