1から10まで丁寧に説明しても、相手にうまく伝わらないこともある
どこの街にもある、安くてうまい立ち呑み屋。年齢も性別も関係なく、誰もが心をひらいて気楽に過ごせる場所だから、ついつい本音や悩みがポロリとこぼれてしまう……。
そんな“人生交差点”でほろ酔いになりながら、読者から寄せられたお悩み相談にのるのは、芸能界の天国も地獄も味わった“無敵の炎上芸人”とろサーモン・久保田かずのぶ。
学生街の早稲田にたたずむ「居酒屋もちだ」で、おでん盛り合わせの次に注文したのは「厚切りベーコン」だ。
――言いたいことも言えないこんな世の中。何かあったらすぐに炎上するし、久保田さんも日々ストレスが溜まるのでは?
やっぱり僕は芸人なんでね。ネタができて、舞台に上がってウケたら、それでストレスはゼロになります。あとは、仲間とワイワイ酒を飲んで楽しめば、ストレスは解消できますね。
もちろん、ストレスが溜まることもありますよ。たとえば、自分では1から10までていねいに説明しているつもりでも、それが相手にうまく伝わらないとものすごくストレスを感じます。その場の思いつきをしゃべる自分も悪いんですけど。
――久保田さんのYouTubeを見ていると、ご自身や共演者をディレクターのように客観的な目線で捉えていますよね。やっぱり頭のなかにはいろんな絵が浮かんでいるんですか?
芸人はみんなそうだと思いますよ。自分がボケて、ウケる。ツッコミをもらって、さらにウケる。先の先まで俯瞰で考えているし、そうやってネタを作っていますから。
でも、共演者やスタッフに対して、「俺は今、こういうパッケージで笑いをとりたい」という意図が伝わらないこともけっこうあるんです。きっと自分も悪いので、腹が立つわけではないんですよね。どう話しても相手に伝わらないことってありますから。
――もうちょっと理解してよ、という寂しい気持ちですかね。
そうかもしれない。「全員が全員、自分のことを瞬時に理解してくれるわけじゃない」という当たり前のことに最近ようやく気づき始めました。44歳でやっと(笑)。