30分程度の外出なら「つけっぱなし」のほうが節電になる

ほかにもエアコンの節電につながることはあるのだろうか?
2週間に1度の室内機のフィルター掃除は節電のポイントとして知られているが、室外機の周辺を片付けることも節電につながる。

「エアコンは、室内機で取り込んだ空気から熱を集めて、熱が減って冷たくなった空気を室内に戻すことで部屋を涼しくしています。室内の空気から集めた熱は室外機まで運ばれ、室外機から屋外へ追い出されます。室外機周辺に段ボール箱や鉢植えなどの障害物を置いて吸込口や吹出口をふさいでしまうと、効率的に排熱できなくなり、無駄な電力消費につながってしまいます。周辺には余計なものは置かないようにしましょう」(重政さん)

今からできるエアコンの節電ポイント3 30分程度の外出なら「つけっぱなし」に、就寝時の室温の目安は28度、急冷したいときに下げるのは設定温度ではなく、風量を上げる_6
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さらに節電のポイントとして大きいのが、エアコンの心臓部分ともいえる圧縮機への負荷だ。

「エアコンは室内機で集めた部屋の中の熱を、冷媒というガスにのせて室外機から外に逃がして部屋を涼しくしています。この冷媒を循環させているのが、『エアコンの心臓』ともいえる『圧縮機』です。圧縮機は、冷媒を吸い込んで圧力をかけ送り出す動作を繰り返す部品です。実はこの圧縮機がエアコンの消費電力の80%を使っているんです。
この圧縮機への負荷を抑えることが節電のポイントです」(重政さん)

圧縮機への負荷を抑える工夫はさまざまだが、例えば次の3つのようなポイントがある。

節電ポイント1:スイッチオン・オフは控えめにする

記者はエアコンをつけていて、30分ほど近所に買い物に行くときなどは、エアコンを消したり、こまめにエアコンをスイッチオン・オフしたりしているが、これだと逆に圧縮機に負担をかけ、電気代が余計にかかってしまうそうだ。

エアコンはスイッチを入れた直後、勢いよく運転して部屋をすばやく冷やそうとする。そのとき圧縮機は、より多くの熱を運ぶために運転の力を強める。室温が設定温度に達すると、圧縮機はその状態を維持できる程度に力を落として安定運転を続けるようになる。
そしてまた部屋が暑くなると圧縮機はまた動きを強めるため、スイッチのオン・オフを繰り返すと、圧縮機への負荷が高まる頻度が増え、その分、より多くの電気が必要になるのだ。

「ダイキンの実験では、日中30分程度の外出なら、一度オフにするよりつけっぱなしのほうが電気代の節約につながる結果となりました。温度調節のための頻繁なオン・オフはなるべく控えるようにしましょう」(重政さん)

節電ポイント2:設定温度を下げる代わりに風量を上げる

早く部屋を冷やしたいとき、エアコンの設定温度をいつもより低くすることがあるが、そうなるとより多くの熱を運ぶことになり、その分圧縮機に負担がかかり、電力を使うことに。
そんなときにおすすめなのが風量を上げて、体感温度を下げることだ。

「風量を上げると、ファンの音が大きくなり、電気をたくさん使っているように感じてしまうかもしれませんが、実はファンが使う電力は圧縮機が使う電力と比べてとても少ないので、はるかに省エネで電気代の節約につながります。冷房運転中に少し暑いと感じたときは、設定温度を下げる前に風量を強めてみてください」(重政さん)


節電ポイント3:「風量自動」で効率的に運転する

また、節電しようと常に風量を弱めにしてしまう人もいるが、これも圧縮機に負担をかけ、電気代がかかることになるようだ。

「風量を弱めにすると熱交換器を通る空気の量が減り、熱を集めるのに時間がかかります。その分圧縮機に負荷がかかり、やはり余計な電気を使ってしまいます。風量を自動にしておくと、エアコンはスイッチを入れたあと、どんどん熱を運び出しすばやく部屋を涼しくします。必要な分だけ室内の熱を減らせたら、あとはお部屋の温度を維持できるように安定運転を続けます」(重政さん)

風量弱めだとファンが静かなので、節電になるかと思われがちだが、「風量自動」のほうが
より効率的な運転になり、電気代の節約につながるようだ。


「その他、部屋の空気がムラにならないように風向は水平にする、サーキュレーターなどを活用すると節電につながります。
まだまだ残暑が厳しい日々が続くので、エアコンを上手に使って熱中症を予防しながら、暑さを乗り越えていただきたいですね」(重政さん)

ダイキン工業株式会社
https://www.ac.daikin.co.jp/roomaircon 

取材・文/百田なつき