もはや右脳・左脳の概念は崩れつつある
私は過去35年以上にわたり、「スポーツと脳」というテーマで右脳の機能アップを促進するトレーニング開発に尽力してきました。そこでわかったことは、右脳・左脳という概念だけで語るのはもはや時代遅れだということです。
多くの人々が誤解していることがあります。実は脳という臓器は解剖学的に見て文字や数字を処理するには、とても不向きだということです。
なぜなら脳にとってその作業はまったく慣れていない、新しく身につけた能力だからです。人類の650万年という歴史の中で、この能力を身につけたのはほんの数千年前からでしかないのです。
しかも、人間以外にこの能力を身につけている動物はほとんど存在しないのです。
トレーニングされたわずかなゴリラやオウムだけが、初歩的な言語処理ができるに過ぎません。
これらの言語処理は脳にとっては、苦手で不慣れであるため、とてもストレスがかかる作業なのです。長時間あなたがパソコンとにらめっこをしているとき、あなたの心がストレスを感じているというより、むしろあなたの脳が悲鳴を上げているのです。
脳の最後のフロンティアは間違いなく非言語の領域です。
実は大脳半球はさまざまな機能を分担で行っているのです。図表1ー4は知能の分担領域を示したものです。著名な心理学者ハワード・ガードナーは、ヒトの脳の働きには7つの知能があると主張しています。