両利きのすすめ#2
両利きのすすめ#3

大谷翔平選手の生い立ちから利き脳について考えてみた

私は、両利き人間がこれからの時代を背負っていく、と考えています。
身体の各器官の非利き側を活性化させることがなぜ必要なのか。それは、各器官は人間にとって最も重要な「脳」と繋がっているからです。そこで、まず脳の利き側の話から始めたいと思います。

いくら科学が加速度的に発達したからといって、人間の脳がコンピュータに置き換わることはほとんど不可能に近いのです。これは私の独断的な予測に過ぎないのですが、少なくともこれから数十年以内に私たちの脳の機能とまったく同等のコンピュータが開発されることはないはずです。

しかし、脳の機能の領域に関する研究は、飛躍的に進歩しています。いまや確実に新しいトレンドが動き出しているのです。例えば、いままで右脳あるいは左脳のどちらか単独で行われていると思われていた高度な作業も、実は右脳と左脳の協同作業によって行われていることが判明し始めています。

右脳と左脳の交信を頻繁にさせながら両者を連動させることで、脳の持っている潜在能力を引き出すことができるのです。残念ながら、ほとんどの人が片方の大脳半球ばかりに作業をさせているので、もっと両者のバランスをとる必要があるわけです。
つまり、あなたがその気になれば、両方の大脳半球をバランス良く使うことができ、両利き人間の仲間入りができるのです。

いまスポーツ界でもっとも注目されているアスリートは、大谷翔平選手で間違いないでしょう。大谷選手は左打ち、右投げです。これはメジャーリーグで3000本安打という金字塔を打ち立てたイチローさんとも、見事に一致します。
私は、彼らのパフォーマンスの大きな要因が両利きだったことにある、と考えています。実は、大谷選手が左打ちを採用したのは、父親徹さんの影響が大きいのです。
このことについて、大谷選手はこう語っています。

「(左打ちか右打ちか)どちらにしようか迷っていて、お父さんとお風呂に入っているときに、『俺、どっちで打ったらいい?』と尋ねると、『打ちやすいほうで打てば?』と言われて、『じゃあ、左打ちにしよう!』と」

徹さんは、少年時代の大谷選手が所属していた野球チームの監督を務めていました。
徹さんは打者としての大谷選手を左打ちにした理由を次のように語っています。

「私自身が左打ちだったので、はじめから翔平の打ち方は指導しやすい左打ちにしました。その中で、インコースならライト方向へ、アウトコースならレフト方向へ、変化球にもしっかりと対応できるようになってもらいたかったので、コースによって打ち分けられるようにしなさいと言い続けたのです」

大谷翔平選手の脅威のパフォーマンスの要因の一つは両利き使いによる脳の切り替え!? 両利き人間がこれからの時代を背負っていくのは本当?_1
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野球において左打者というのはいくつかの点で右打者に比べて有利です。「ピッチャーにとって、右打者に比べて左打者と対戦する確率が低い」、「一塁までの距離が右打者に比べて短い」といったことが理由です。

大谷選手は左打ちですが、投げるのは右手なので、右利きや左利きの選手よりも明らかに左右脳の交信が頻繁に行われているはずです。それが彼のスポーツ脳を異常なまでに進化させ、2022年シーズンに打者としてホームラン34本、投手として15勝9敗というとてつもないパフォーマンスを発揮する大きな要因になった、と私は考えています。