夢のコラボレーションはこうして生まれた
『天下鳴動』原作者の与儀新一さんと、付録づくりに協力いただいたホビージャパンの宇藤慶彦さんに、改めて『天下鳴動』の開発エピソードや今回のコラボレーションに至った経緯を伺っていきます。
――『天下統一ボードゲーム!』には『天下鳴動』の面白さがギュッと濃縮されているように感じましたが、そもそも『天下鳴動』はどのようなきっかけで制作したのでしょうか?
与儀 私は77spieleというボードゲーム創作ユニットで活動しており、『天下鳴動』はその3作目となる作品です。入札結果が他銘柄やゲーム後半にも影響する競りゲームのような、どこかの勝利が他のエリアに波及するような陣取りの遊びを作りたくて。場所争いをするなら戦国時代だろうと思ったので、テーマやビジュアルのイメージは早い段階で決まりましたね。そこから基礎研究に1年、実作業で1年くらいかけて最初の『天下鳴動』が完成しました。
――こちらが最初期の『天下鳴動』ですね。マップの位置関係は既に完成されていますが、なかなか味わい深いです……!
与儀 同人ゲームですから、マップは自宅で印刷したものをコンビニのA3サイズでコピーして。チップやコマも100円ショップの素材を買い込んでハサミで切ったりして、完全に手作業で作っていました。あまりにも大変でしたね(苦笑)。
――すごい苦労をされていたんですね。そんな中、企業が出すボードゲームも候補に入る「ゲームマーケット大賞2018」で『天下鳴動』は大賞を受賞します。その翌年、2019年にはホビージャパンが版元となった製品として発売され、大きな躍進を遂げました。
宇藤 実はゲームマーケット大賞を取る前から、ホビージャパンの社内で『天下鳴動』は話題になっていて、与儀さんたちに商品化のお声がけをしていたんです。ルールのシンプルさとプレイヤーが取れる選択肢のバランスが良いし、最後まで逆転の可能性が残されているつくりも上手い。本当に完成度の高いゲームだと思いました。
与儀 ホビージャパンさんから声をかけられた時が、人生でいちばんのピークでしたね(笑)。自分達で妄想しているような状態からゲーム作りが始まりましたが、ゲームマーケットのような場でお客さんから反応をもらえたことで、ようやく現実との接点ができたんです。そこからさらに「商業的にも通用する」と言われたようなものですから、本当に嬉しかったですよ。