世界ベスト20に入る選手のうちの5人がACL損傷

【月経前の4日間が危ない!?】 女子サッカー選手のACL(膝の前十字靭帯)損傷が世界的な問題に。WEリーグ各クラブの取り組みは?_1
欧州では世界的女子サッカー選手が続々とACL損傷を発症している
すべての画像を見る

女子プロサッカー「WEリーグ」は、2年目のシーズンの半分の試合数を消化した。現在はウインターブレイク中で、後半戦は3月に再開する。

現在、女子サッカー界で問題となっているのが、膝の前十字靭帯(anterior cruciate ligament/以下:ACL)のケガの多さだ。ACLは大腿骨(太ももの骨)と頸骨(すねの骨)を繋ぐ強力な繊維束で、急激な方向転換や強度の変化、着地の失敗などで断裂してしまうことがある。復帰には8〜12カ月かかり、再受傷率は約2割とも言われる。最悪の場合、選手生命を絶たれかねない大ケガである。

【月経前の4日間が危ない!?】 女子サッカー選手のACL(膝の前十字靭帯)損傷が世界的な問題に。WEリーグ各クラブの取り組みは?_2

また、女子選手は、男性とは異なる骨格や、ホルモンバランスの違いから、男子選手に比べてACL損傷のリスクが4〜6倍高いとも言われる。そして着地時や反転時などの非接触型が7〜8割を占めており、バスケットボールやフットサル、バレーボールなど他競技でも女子選手に多くの症例が報告されている。

欧州では、各国の代表主力級選手にこのACLのケガが多発しており、現在、世界の女子サッカー選手ベスト20に入る選手のうち5名がACLを損傷しているという非常事態に。さすがに代表監督や、当事者の選手たちからも声が上がり始めた。

2年連続でバロンドールを受賞したスペイン代表のMFアレクシア・プテージャスは、昨年7月の女子ユーロ大会直前にACLを断裂し、大会欠場を余儀なくされた。また、同大会で得点王とMVPを受賞し、イングランド史上最高のFWとも言われるベス・ミードも同じケガで、今夏のW杯に出られない可能性がある。

【月経前の4日間が危ない!?】 女子サッカー選手のACL(膝の前十字靭帯)損傷が世界的な問題に。WEリーグ各クラブの取り組みは?_3
2年連続でバロンドールを受賞したスペイン代表のMFアレクシア・プテージャス

イギリスの一般紙「ザ・ガーディアン」によると、イングランド代表のサリナ・ヴィーフマン監督は、「FIFAやUEFAなど、世界中の連盟がACLの問題について動くべきです。トッププレイヤーに対するゲームの要求はますます高くなっていますから」と述べた。

イングランドの女子スーパーリーグ(FA WSL)では夏以降、少なくとも10人の選手が離脱しており、FA(イングランドのサッカーを統括する国内競技連盟)も調査に動いている。理学療法士や医師らが原因の調査や研究を進めており、近いうちに新たな研究成果を発表する予定だという。