“スナック芦ノ湖”が語る駒澤大学の魅力

箱根駅伝の前哨戦である出雲駅伝、全日本大学駅伝で優勝し、大学初の三冠が期待される駒澤大学。長い歴史の中で常に箱根駅伝を盛り上げてきた強豪校は、なぜファンの心を掴んで離さないのか。

箱根駅伝好きが講じて駅伝関連の取材も多数行うイラストレーターの進藤やす子さん、ラジオの構成作家で、ランニングのフリーペーパーを発行していたこともある白滝桂子さん、ランニングにハマり、女子マラソンの国際資格を得て出走したこともあるライターの間庭典子さんの3名が、その魅力を掘り下げる。

すごく強いのに、なぜか切ない!? 大学初の3冠目前。箱根駅伝ファンが駒澤大学を推したくなる3つ理由_1
箱根駅伝を熱く語り合う場を架空の飲み屋“スナック芦ノ湖”と称している3人。左から間庭典子さん、進藤やす子さん、白滝桂子さん
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【理由1】「男だろ!」でおなじみ。
大八木監督が魅力的すぎるから

すごく強いのに、なぜか切ない!? 大学初の3冠目前。箱根駅伝ファンが駒澤大学を推したくなる3つ理由_2
<大八木弘明監督>1958年生まれ、福島県出身。24歳で駒澤大学経済学部2部(夜間部)に入学。昼は働きながら、練習と勉強に励んだ。箱根駅伝には3回出場。実業団を経て、1995年に母校である駒澤大学の陸上競技部コーチに就任し、2004年からは監督としてチームを率いている
写真/共同通信社

進藤 駒澤を応援したくなる理由は、第一に大八木監督の魅力が大きいよね。

白滝 人情味あふれる名物監督。箱根駅伝の歴史を感じさせる存在です。

間庭 選手は4年間で次々と入れ替わるけど、箱根駅伝に出場する大学の監督は、長期政権が多いイメージ。

進藤 山梨学院大学を37年間率いた上田誠仁監督(1985〜2022)を筆頭に、神奈川大学の大後栄治監督(1998〜現在)、青山学院大学の原晋監督(2004〜現在)、帝京大の中野孝行監督(2005〜現在)など、挙げればキリがないくらい。だからこそ、大学のカラーは監督のキャラクターに影響を受ける気がする。

間庭 大八木監督率いる駒澤大学は、実直なイメージがあるよね。監督車から飛ばす「男だろ!」という檄が有名だけど、2020年の第96回大会では、5区で駒澤大学の伊東颯汰選手と並走していた國學院大學の浦野雄平選手にまで、「人の後ろにばっかいたらダメなんだ!」と檄を飛ばしていたのには驚いた(笑)。自分のチームだけでなく、他校の生徒たちも見守っている感じ。

白滝 まさに箱根駅伝のお父さんだね。オールバックの怖そうな見た目に反して、すごくフランクで優しいキャラクターなのも素敵です。

進藤 会津弁なのも愛せるー(笑)。選手たちが大八木監督のことをすごく信頼しているのも伝わってきます。

中村匠吾選手は、駒澤大学卒業後も大八木監督の指導を受けて東京オリンピックのマラソン代表になったし、現在4年生の大エース・田澤廉選手も、春からトヨタ自動車に入社するけれど、拠点は変わらず駒澤大学に置いて大八木監督のもとで指導を受けるそう。

白滝 選手たちが大八木監督を喜ばせよう、胴上げしようとしている感じが伝わるし、その空気感も駒澤大学を応援したくなる理由のひとつかも。