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野口みずきさんは、「走った距離は裏切らない」をモットーに、“世界一の練習”と自称するほど走り込んで、2005年9月のベルリンマラソンで2時間19分12秒の女子マラソンの日本記録を打ち立てた。

現在はマラソンや駅伝の解説者としても活躍する野口さんに、17年以上破られない自身の日本記録や、記録を打ち破る可能性を持つ注目選手を聞いていく。

野口みずきの17年間破られない女子マラソン日本記録を更新するのは誰? 「いざ破られそうになると、変な心情になります」_1
現在は解説者を務める野口みずきさん
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「当時は2、3年後には破られるんだろうな、と」

――これほど長い間、自身の記録が破られずにいることについて、どのように思われているのでしょうか?

野口みずき(以下、同) ここまで破られないとは思ってもいなかったですね。当時は、どうせ、あと2、3年後には破られるんだろうなというくらいに思っていましたから。やっぱり、2時間20分を切るっていうのはまあまあ大変だということなのでしょうね。

ただ、シューズが進化したのもあって、世界はどんどん高速化していて、2時間14分台に突入しました。現役の日本女子のトップが一山麻緒選手(資生堂)の2時間20分台(2時間20分29秒)ですから、6分も差をつけられてしまっています。そんなに差が開いたのは、なぜなのかなって思うんですけどね。

――その“なぜ”をお聞きしたかったです。野口さんはマラソンの解説をされていますし、ダイハツ女子陸上部の山中美和子監督のように同学年の指導者もいらっしゃって、現在の選手の練習内容も見聞きされていると思うのですが、どう考えていますか?

少し前までは、故障のリスクを恐れてそんなに練習量をこなさない選手が多かった印象があります。それで、なかなか日本の女子マラソンのレベルが上がらなかったと思っています。

でも最近になって、練習自体は多分、私が現役の頃と大差がないというか、むしろ、けっこうやっているように思うんですよ。マラソン前に選手や指導者に話を聞くと、そんなにやっているのか!って思うこともあるので。

一山選手や新谷仁美選手(積水化学)は、量を走っていると聞きますね。昔、私たちがやっていたような練習を、またやり始めたのかなと感じています。