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新チームを襲った「6冠後の不安」

「天才エース」田臥勇太と共にプレーする苦悩…当時の“レギュラー候補”が吐露「僕がわかっていなかったんでしょうね」_1
96〜98年、能代工のエースに君臨した田臥勇太 ©Aflo
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自分たちがそれまでの「最強・能代工」ではないのだという現実を理解できたのは、田臥勇太たちが最高学年となった1998年最初の練習試合で、大学生チームに敗れてからだった。

「6冠を達成できたのは、お前たちがすごかったからじゃない。先輩たちに活かされていたから勝てたんだからな」

試合後、チームをそう諭した監督の加藤三彦が、その時の状況を説明する。

「『これから全然違うチームになる』っていうことは、選手たちが一番わかっていたんじゃないかな? 田臥たちは1年生から同じメンバーでしかやってこなかったから、『自分たちの代でどうチームを作っていくのか』ということを初めて考え、不安にもなったと思います」

田臥、菊地勇樹、若月徹のトリオが健在とはいえ、1997年まで2年連続3冠を達成できたのは、上級生にポイントガード・畑山陽一とセンター・小嶋信哉がいたからだった。

そのふたりが抜けた穴があまりにも大きいことは、新キャプテンとなった田臥自身、痛いほど身にしみていた。

「後輩だった僕らが伸び伸びプレーさせてもらえていたのは、畑山さんと小嶋さんがいたからで。今後は残った自分たち3人が、後輩たちがチームにフィットできるように引っ張って、同時にレベルアップして、『去年の強さを超えなきゃいけない』とは思っていました」