絶対的なセットアッパーに成長

「阪神が今季、3位に入れたのは彼のおかげ」鳥谷敬が挙げた選手名とは?_1
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――今シーズン、阪神タイガースの戦いを振り返ると、開幕からの9連敗もあり、借金は最大で16にまで膨れ上がりました。あの状況は想像されていましたか?

タイガースが、シーズン序盤にあそこまで苦しむとは、おそらく誰も想像していなかったと思いますね。苦戦するだろうと予想はしていましたが、最終的にシーズン68勝71敗4分と、まさか勝率5割に届かない結果で終わるとは……。

プロ野球界に長くいれば、ケガ人なく1年間戦力通りに戦った場合、どのチームが上位にくるかは、ある程度わかるものなのですが、この結果には正直、驚きが大きかったです。

昨シーズンは77勝56敗10分。わずかの差でリーグ優勝を逃したものの、優勝したヤクルトスワローズより勝利数は上回っていました。戦力的には、2020年から2年連続で最多セーブのタイトルを獲得したロベルト・スアレス投手が抜けたのが大きかったですね。

スアレス投手が在籍していた2年間は、チームとして8回までの戦い方を考えればよかったのですが、9回を任せられるストッパーがいなくなり、それができなくなってしまった。

コロナ禍の特例で、2020年は10回まで、昨シーズンは行われていなかった延長戦が今シーズンは通常通り実施されたこともチームにとって痛手でした。

さらに、新たなクローザー候補として獲得したカイル・ケラー投手の来日がコロナの影響で遅れ、見切り発車のまま開幕を迎えざるをえなかったことも、誤算だったと思います。

その結果、開幕戦ではリリーフ陣が7点差を守れず、ヤクルトスワローズに逆転負けを喫してしまいました。ひとつ歯車が狂ってしまうと、チームは、あそこまでバランスが崩れて勝てなくなるのだと、外から見ていて非常に勉強になりました。

――結果的には、タイガースはリーグ3位に滑り込んだ形になりましたが…。

ケラー投手の調子がなかなか上がらない時期に、頭角を現したのが湯浅京己投手でした。彼の台頭があったので、岩崎優投手が9回だけではなく、その前の回で登板する形もできました。

新人王こそ逃したものの、湯浅投手が絶対的なセットアッパーに成長したことが、タイガースがシーズン途中から盛り返せた最大の要因だと思います。

終わってみれば、チーム防御率2.67と、投手陣としては抜群の成績を残したと言えるのですが、それだけの力を持っていても、開幕までに形が決まらなかったことが最後まで響いてしまった。

そのあたりを開幕からしっかり整備できていた横浜DeNAベイスターズが2位に食い込んだという結果からみても、改めて試合終盤を任せるピッチャーの重要性を感じましたね。