「WEリーグ」をご存じだろうか?
2021年9月に開幕した日本女子サッカーのプロリーグのことだ。

従来の「なでしこリーグ」はアマチュアの最上位リーグとして継続し、WEリーグが新たにトップリーグとなった。その名称は「Women Empowerment League」の略で、「世界一アクティブな女性コミュニティへ」というビジョンとともに、社会の旗振り役としての期待するメッセージが込められている。

代表と国内リーグの強化を目的として、JFA(日本サッカー協会)主導で立ち上げられ、運営は電通によってサポートされている。

WEリーグは「世界一アクティブな女性コミュニティ」へ向かっているか? ~見えてきた現状の課題_a
WEリーグは日本初の女子プロサッカーリーグとして、2021年9月12日に開幕した

従来のなでしこリーグの9チームがプロ化して参入(新規は2チームのみ)しているので主な顔ぶれは変わっていないが、選手たちの環境面は大きく変化した。

スタジアムや練習場などに一定の基準が設けられたほか、選手の最低年俸は270万円と定められた。選手は24時間サッカーと向き合えるようになり、コンディション調整や体のケアにも時間を割くことができるようになった。

これまでは20代で引退する者も多かったが、今後、選手寿命は延びるだろう。何より、サッカー女子たちの夢に「プロサッカー選手」という選択肢が加わったことは大きい。
 
筆者はなでしこリーグ時代から15年以上取材を続けてきたが、育成の充実やプレー環境の向上とともにリーグ全体のレベルは底上げされ、地域密着も進んできたと断言できる。何より、プロ化は多くの女子サッカー関係者の悲願でもあった。

だがその一方で、新リーグは開幕初年度から予想以上に多くの課題を突きつけられている。開幕を祝うメディアの称賛報道から半年が経過したが、「世界一のリーグを目指す」ことや女性の社会参画というWEリーグの崇高なビジョンに共感しつつも、女子サッカーの発展を心から願う一人として、そろそろ現場が直面している問題を考え、提言を添えたい。

一つは予算の削減問題だ。JFAの田嶋幸三会長は、2020年6月のWEリーグ開幕記者会見でこう話していた。

「日本サッカー協会は昨年来、女子のプロ化に関して理事会で多くの時間をかけて議論してきました。そして、5年間で10億円以上を女子サッカーに投資していこうと議論したところです。ただコロナ禍で多くのことを変更せざるを得なくなりました。3月の評議委員会で予算を変更し、コロナウイルス の対策費として7億円、女子サッカーに対して3億円の予算を残しました」

コロナ対策はもちろん重要な課題だが、予算は当初の3分の1以下になり、試合開催やプロモーションのための原資や人的リソースも制限された。有料動画配信サービスのDAZN(ダゾーン)で全試合が生中継されることになったが、地上波で取り上げられる機会は少なく、プロモーション戦略も十分とはいえない。

各チームの年間予算は3〜4億円に上るとみられる。WEリーグの岡島喜久子チェアは、各クラブの採算分岐点として「1試合あたり5000人近い観客数が必要」と明かしたが、現状の1試合平均観客数は1520人(16節終了時)にとどまっている。