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スポーツ 2022.04.07

WEリーグは「世界一アクティブな女性コミュニティ」へ向かっているか?~見えてきた現状の課題

昨年9月に開幕した国内初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」だが、まだ知名度は低く、1試合あたりの平均入場者数でも苦戦を強いられている。開幕から半年が経ち、見えてきた課題をスポーツライターの松原渓氏がレポートする。

  • 松原渓
  • なでしこジャパン
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「WEリーグ」をご存じだろうか?
2021年9月に開幕した日本女子サッカーのプロリーグのことだ。

従来の「なでしこリーグ」はアマチュアの最上位リーグとして継続し、WEリーグが新たにトップリーグとなった。その名称は「Women Empowerment League」の略で、「世界一アクティブな女性コミュニティへ」というビジョンとともに、社会の旗振り役としての期待するメッセージが込められている。

代表と国内リーグの強化を目的として、JFA(日本サッカー協会)主導で立ち上げられ、運営は電通によってサポートされている。

WEリーグは日本初の女子プロサッカーリーグとして、2021年9月12日に開幕した

従来のなでしこリーグの9チームがプロ化して参入(新規は2チームのみ)しているので主な顔ぶれは変わっていないが、選手たちの環境面は大きく変化した。

スタジアムや練習場などに一定の基準が設けられたほか、選手の最低年俸は270万円と定められた。選手は24時間サッカーと向き合えるようになり、コンディション調整や体のケアにも時間を割くことができるようになった。

これまでは20代で引退する者も多かったが、今後、選手寿命は延びるだろう。何より、サッカー女子たちの夢に「プロサッカー選手」という選択肢が加わったことは大きい。
 
筆者はなでしこリーグ時代から15年以上取材を続けてきたが、育成の充実やプレー環境の向上とともにリーグ全体のレベルは底上げされ、地域密着も進んできたと断言できる。何より、プロ化は多くの女子サッカー関係者の悲願でもあった。

だがその一方で、新リーグは開幕初年度から予想以上に多くの課題を突きつけられている。開幕を祝うメディアの称賛報道から半年が経過したが、「世界一のリーグを目指す」ことや女性の社会参画というWEリーグの崇高なビジョンに共感しつつも、女子サッカーの発展を心から願う一人として、そろそろ現場が直面している問題を考え、提言を添えたい。

一つは予算の削減問題だ。JFAの田嶋幸三会長は、2020年6月のWEリーグ開幕記者会見でこう話していた。

「日本サッカー協会は昨年来、女子のプロ化に関して理事会で多くの時間をかけて議論してきました。そして、5年間で10億円以上を女子サッカーに投資していこうと議論したところです。ただコロナ禍で多くのことを変更せざるを得なくなりました。3月の評議委員会で予算を変更し、コロナウイルス の対策費として7億円、女子サッカーに対して3億円の予算を残しました」

コロナ対策はもちろん重要な課題だが、予算は当初の3分の1以下になり、試合開催やプロモーションのための原資や人的リソースも制限された。有料動画配信サービスのDAZN(ダゾーン)で全試合が生中継されることになったが、地上波で取り上げられる機会は少なく、プロモーション戦略も十分とはいえない。

各チームの年間予算は3〜4億円に上るとみられる。WEリーグの岡島喜久子チェアは、各クラブの採算分岐点として「1試合あたり5000人近い観客数が必要」と明かしたが、現状の1試合平均観客数は1520人(16節終了時)にとどまっている。

秋春制移行で見えてきた課題

もう一つの問題が、シーズンの移行による影響だ。Jリーグでも長く議論されてきた秋春制(シーズンを秋に開幕して春に終えるという欧州主要リーグと同じ制度)を、WEリーグが先に採用したことはあまり知られていない。

秋春制のメリットとしては、主要リーグが集まる欧州にカレンダーを合わせることで、代表強化や選手の移籍の追い風になると考えられている。逆に課題として指摘されてきたのは、雪国での公式戦開催やスタジアム環境の整備、日本社会の卒業・入学時期(3-4月)と合わないことなどだ。

WEリーグにも新潟や仙台、長野など寒冷地のクラブがあるが、Jリーグのようにオープンな議論はされないまま決まった。それは、WEリーグが協会主導のトップダウンで成立を急がれてきたこともあるだろう。

では、実際にWEリーグは秋春制のメリットを享受しているのだろうか?

今季はコロナ禍の厳しい渡航制限も影響し、外国籍選手の加入は9人(2022年3月末現在、退団した選手も含む)にとどまっている。指導者の来日は実現しなかった。ビッグネームを獲得するには高額年俸が必要だ。

逆に、なでしこジャパンの選手たちの海外挑戦は活性化している。一方的な戦力の流出は、リーグのレベル低下を招きかねない。

今年1月から2月にかけて行われたアジアカップで、なでしこジャパンはW杯出場権を獲得したが、準決勝で中国に敗れ、3連覇を逃した。本来、秋春制になるとこの時期はシーズン中のためコンディションは良くなるはずだが、国内公式戦の数が少なかったことで、コンディション調整に時間を要した影響もあったはずだ。

今年1~2月に行われたアジアカップ。なでしこジャパンは準決勝で中国にPK戦で敗れ、大会3連覇を逃した

一方、秋春制の課題として懸念されてきた降雪地域への対応については、1月と2月をウインターブレイク(冬休み)とした。複数のクラブ関係者から「この期間にカップ戦を行ってほしい」という声が上がっていたが、叶わなかった。予算が足りないからだ。

欧州のプロリーグは1月、2月も試合があり、カップ戦、チャンピオンズリーグなどで年間40試合近くをこなすチームもある。しかし、WEリーグはもともとチーム数が「11」と少なく、リーグ戦は20試合のみ。プレシーズンマッチや皇后杯を合わせても30試合に満たない。 

この試合数では、強化の面でも興行面でも「プロ」の基準を満たすことは難しい。公式戦が減れば、若手や控え選手の出場機会がなくなり、競争力の低下は避けられない。コンディション調整も難しくなる。

実際、今季は例年に比べてもリーグ全体でケガ人の数が多くなっている。

あるチームの関係者は、「初めての秋春制で心身のコンディショニングが従来と変わってしまい、ケガ人も多く出て前半戦は苦労しました」と明かした。
クラブ側からは「ウインターブレイクが長すぎます」という訴えも聞こえてくる。

中断明けのWEリーグ後期開幕戦は、5試合中4試合でそれまでの平均観客数を下回った。コンスタントに試合をしなければ、ファンの心が離れていくのは当然だ。

十分なシミュレーションがされないまま秋春制移行が形式的に進められ、準備不足に予算不足が拍車をかけた。その負担を引き受けているのはクラブなのだ。

JFAの女子部門のトップを務める佐々木則夫女子委員長の耳にもその訴えは届いており、対策が急がれている。

「WEリーグの試合数や(プレーの)質を上げて、代表の遠征中に若い選手たちが切磋琢磨できるような環境も作らなければいけない。そのためにはスポンサーが必要なので、理想を求めつつバランスを模索しています」(佐々木女子委員長、アジアカップ中のオンライン取材)

繋がらないピラミッド

秋春制への移行で浮き彫りになったもう一つの課題は、代表やなでしこリーグなど、他カテゴリーとの兼ね合いだ。代表活動中は公式戦が中断される。そして、なでしこリーグは3月開幕の春秋制のまま行われている。つまり両リーグ間でのチームの昇格や降格はなく、ピラミッドは繋がっていない。

昨年12月末の皇后杯で起きた番狂わせは、その難しさを象徴していた。
 
11月末に代表が欧州遠征を行った際、選手たちは帰国後2週間の隔離を余儀なくされ、WEリーグの試合が延期になった。そのため、各チームは公式戦が1カ月間ない状況で皇后杯に臨んだ。

そんな中、日テレ・東京ヴェルディベレーザの下部組織で中高生主体のメニーナと、平均年齢19歳のセレッソ大阪堺レディース(なでしこリーグ)がプロチームを2度も撃破してベスト4に進出し、大きな話題をさらったのだ。

両チームは春先から公式戦を重ねてコンディションを上げ、トーナメントを勝ち上がってきた。高い戦術眼や身体能力、スキルを兼ね備えた新世代の台頭は育成の未来を示したが、その一方で、産声を上げたばかりのWEリーグに厳しい現実を突きつけた。

ジャイアントキリングは皇后杯の見どころの一つだが、今大会で顕在化した日程の不公平感は解消してほしい。WEリーグの野仲賢勝専務理事は、「チーム数(を増やす)の議論とともに、WEリーグをなでしこリーグと繋げていくのかどうかも検討しています」(メディア向けブリーフィング)と語っている。

皇后杯は最終的に、浦和と千葉がファイナルに進出してプロの意地を見せた。だが、アジアカップとの兼ね合いで、準決勝から決勝まで1カ月半以上も空く異例のレギュレーションになり、その空白期間も、世間の関心を低下させた。

国内リーグのレベルアップと代表強化がプロ化の目的だったはずだが、シーズン移行はマイナス面ばかりが目立つ結果になっている。「WEリーグがJリーグの秋春制導入のためのテストケースになっているのでは?」という声も聞こえてくるほどだ。

WEリーグの成功には何が必要か?

「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」

WEリーグには、この崇高な理念がある。それを実現するために、まず大切なことは競技のレベルが上がり、選手が輝くことだ。それがなければ、「世界一アクティブな女性コミュニティ」は絵に描いたモチになってしまうだろう。

現状、日本にはプロで指導できるS級ライセンスを持つ女性監督が10人前後しかいない。WEリーグで指揮を執ることができる「A-proライセンス」保持者を含めても25人前後にとどまる。一方、男性のS級保持者は500人以上いる。

女性指導者を育て、増やしていくことは不可欠だが、競技力向上のためには、性別に関係なく力のある指導者が必要だ。だからこそ、これまでのようにJリーグから指導者を迎える流れを断ち切ってほしくはない。

ただ、シーズンが変わったことで契約期間にズレが生じ、JリーグからWEリーグに指導者が来るためのハードルは上がった。ここにも秋春制移行の影響がうかがえる。

WEリーグの成功には、何が必要なのだろうか?

第一に、限られた予算の中でも現場の声をしっかりと吸い上げて反映させていくスピード感が欲しい。公式サイトはスタイリッシュだが、迫力のある試合レポートや公式記録、選手のプレーデータなどが掲載されておらず、リーグの魅力を伝える機能を果たしているとはいえない。ファンのそうした声に応えていくマンパワーも求められる。

選手会にも期待したい。

アメリカでは女子代表が男子と同水準の報酬を求めて訴訟を起こし、最終的に米サッカー連盟が総額2400万ドル(およそ27億6000万円)を支払うことで和解した。これは女子代表人気が男子代表を凌ぐアメリカならではだが、同国の選手たちはハラスメント問題や人種問題にも自主的に声を上げている。選手会の動きが活発なスペインは、クラブも代表もレベルアップを続け、国際舞台での存在感を強めている。

2011年当時、日本代表はほとんどの選手がアマチュアだったが、彼女たちは海外挑戦をしたり、より良いプレー環境を求めて行動することで、W杯で優勝した。

WEリーグ発足によって実現したプロ化は、「与えられた」ものかもしれない。それでも、世界の女子サッカーが急速に発展している現状を鑑みれば、プロ化は待ったなしだった。WEリーグを国際的な競争力のあるリーグに根気強く育てていけば、世界の頂点を目指せる日は再び巡ってくる。

1年目の教訓をもとにWEリーグは今後どう向き合っていくのか。後半戦の熱い戦いとともに、見守っていきたい。

写真/AFLO

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松原渓

まつばら けい

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かし、様々な媒体で執筆活動を行っている。

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