6人の日本人選手がプレー

日本女子プロサッカー「WEリーグ」の新シーズンが10月に開幕する。開幕1年目の昨季は、1試合平均5,000人の観客動員目標には程遠い1,560人にとどまった。集客面は今季の課題として持ち越された一方、アメリカのNWSL(ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ)は、1試合平均5,000人以上の観客を集めている。

なぜ、アメリカ女子サッカーが「観客数世界一」なのか? WEリーグ発展へのヒントを探る_1

世界中からスター選手が集まり、満員のスタンドが熱狂する――そんな「世界一のリーグ価値」は、どのように生み出されているのか。

欧州の女子サッカーは近年、競技力の向上が顕著だが、観客数も増加している。今年4月のチャンピオンズリーグでバルセロナが記録した9万人超の大観衆が話題になり、7月の女子ユーロ決勝でも8万7000人超を記録するなど、最多観客者数を次々に更新している。

だが、国内女子リーグの観客数は、実は日本と大きく変わらない。昨季の各国のトップリーグの平均観客数を見ると、イングランドが1,924人、ドイツが804人で、フランスは663人。スペインでは圧倒的な人気を誇るバルセロナも、平均観客数は2,500人程度に留まっている。

それに対し、集客面ではNWSLが群を抜いている。リーグの平均観客数は5,000人以上だ。NWSLでは現在、6人の日本人選手がプレーしている。MF川澄奈穂美、FW横山久美(ともにNJ/NYゴッサムFC)、FW永里優季(シカゴ・レッドスターズ)、MF杉田妃和(ポートランド・ソーンズFC)、FW遠藤純(エンジェル・シティFC)、MF長野風花(ノース・カロライナ・カレッジ)だ。

日本人選手の活躍と、NWSLの集客力の秘訣を探るため、8月上旬、ポートランド・ソーンズFC(以下ソーンズ)とシカゴ・レッドスターズ(シカゴ)の2試合を取材した。

リーグ創設時から人気を牽引してきたソーンズは毎回、ホームゲームに1万5000人が入る。そして、今季は新規参入のエンジェル・シティが、平均1万9000人と人気沸騰中だ。同クラブはテニスのセレナ・ウィリアムズやハリウッド女優のナタリー・ポートマンなど、様々な著名人がオーナーに名を連ねている。その話題性や、華やかなロサンゼルスを拠点としていることもあるだろう。
 
NWSLで8シーズン目となる川澄が、確信を込めて言う。

「アメリカは代表が強くて、『女の子たちが当たり前のようにサッカーをする』という文化もありますが、それとは別に、リーグが盛り上がるためにいろいろな施策をやっています。日本も代表が強い、弱いということで人気がぶれてしまうようでは、WEリーグの成功は見えてこないと思います」