逮捕されたのは東京都渋谷区の田辺稜弥容疑者(25)と調布市の本田孝一朗容疑者(22)。田辺容疑者は2021年3月、渋谷区のホテルで、当時15歳の高校1年生の少女が18歳未満であると知りながら、わいせつな行為をした疑い。本田容疑者は昨年6月から7月にかけて、自らが働いていた新宿区内のコンカフェなどで18歳未満と知りながら、17歳の女子高校生に4回にわたってわいせつ行為をした疑いだ。
両容疑者は別々のメンチカグループに所属していたが、いずれも同じ運営会社がマネージメントしており、さらに同社は本田容疑者が働いていたコンカフェも経営している。
コンカフェとは、特定のテーマを取り入れて他店との差別化を図り、独自の世界観を客に楽しんでもらうカフェのことで、メイド喫茶もその一種だ。
本田容疑者のような男性が働くコンカフェは「メンコン」(メンズコンセプトカフェ)と呼ばれ、飲み放題のシステムやキャストにドリンクを振る舞える「バー業態」が主体だ。喫茶店というよりホストクラブに近い感覚で、店員(キャスト)は売り上げが好成績だと運営会社によってアイドル活動をプロデュースしてもらえるような構造にもなっている。
〈メンズ地下アイドルわいせつ逮捕〉「女子高校生を虜にして売り上げをあげたかった、性的欲求も満たしたかった」…芸名は「蒼天の翼」と「時雨の伊織」、店長は直撃に「風営法許可取ってるんで!」
警視庁は先月末、メンズ地下アイドルの男2人を東京都青少年育成条例違反容疑で逮捕したと発表した。いずれも「推し活」として自身に貢いでくれる少女に複数回わいせつな行為をはたらいた疑いがある。
売上次第でアイドルデビュー…
知られざる「メンコン」の実態

本田容疑者が働いていたメンズコンセプトカフェ
ただ、ホストクラブとは異なり、比較的料金が安いことや、キャストが隣に座ることなくカウンター越しに接客したり、客の目の前にしゃがみこんで会話をすることも多い。つまり、風俗営業法の適用を受けて営業するラウンジやクラブと、そうでないガールズバーとの違いと書けばわかりやすいだろう。
ただし、店舗によってはポイント制や使った金額に応じて店外デートといったサービスが受けられる店もある。
2人が所属していた運営会社が経営する「メンコン」ではポイントに応じてVIPルームと呼ばれる店内にある半個室の使用権利を得られ、利用金額次第でカラオケやプリクラといった店外デートの特典も受けられる。
キャストと店内でじっくり話すためには、指名だけではなく、キャストにドリンクを入れたりチェキ撮影をおこなう必要がある。もちろん、それぞれ都度料金が発生するので、「推し活」にハマると多大な出費となってしまうのだ。
「大量のチェキ券を買わせるために私と付き合ってた…」
と落胆の被害者
田辺容疑者は「蒼天」というメンチカグループで「翼」という芸名で活動していた。警視庁の調べに対し「女子高生がファンの中にいたのは覚えているが、性行為はしたことはない。友達とか恋人ではなくアイドルとファンの関係であり、個人的に会った記憶はない」などと容疑を否認している。
しかし、そもそも捜査の発端となったのが少女の保護者からの「娘がメンチカアイドルにお金を使いすぎている」という相談だった。

逮捕された田辺稜弥容疑者
「2020年9月頃、渋谷で田辺がライブのビラを配っており、これを受け取ったのがきっかけで少女がライブに通うようになった。その後、12月頃に田辺から『付き合おう』と言われて交際関係に発展した。少女は『物販』と称するチェキ代やライブ代に計300万円も費やしていた。
1枚1000円のチェキ撮影で1分間会話できる権利が発生するとともに1ポイントが貯まり、ポイントが貯まると一緒にプリクラ撮影ができるなどさまざまな特典につながる。少女は当初から自分の年齢を正直に伝えていたといい『今考えれば、翼は大量のチェキ券を買わせるために私と付き合っていたんだと思う』と落胆しているそうです」(社会部記者)
一方、本田容疑者は調べに対し「17歳と知りながら4回セックスしたことに間違いありません。女子高校生を虜にして売り上げを伸ばしたかったし、性的欲求も満たしたかった」と容疑を認めている。
被害にあった女子高校生は一昨年11月頃、キャッチセールスに応じてこの「メンコン」に通うようになり、間もなく本田容疑者の「推し」になったところ「もっとお金を使ってくれたらアイドルになれる」などと煽られ、計50万円を費やしたとみられる。
その甲斐あってか、本田容疑者は「時雨」というグループの「伊織」としてメンチカデビューできたようだ。本田容疑者はメンコンの営業時間内に半個室のVIPルームで犯行 に及んでいたという。

本田孝一朗容疑者
「実は少女は店内にもう一人“別の推しメン”がおり、彼の気を惹きたく、嫉妬させるために本田に金を貢いでいたところ、性被害にあった」(前出・社会部記者)
容疑者が所属するメンコン店員に
「クソ女」「ビッチ」と言われた女性も
2021年7月にオープンしたという同メンコンは業界でも悪評高く、近くで同業種店を営む女性はこう証言した。
「開業当初はお酒を頼む客には必ず年齢確認してましたが、いつのまにか緩くなって未成年にもお酒を飲ませていたのか、閉店の時間帯には足取りがおぼつかないくらい酔ってる未成年をよく目にした。
また客引きして連れてきたお客さんと手を繋いで店に入ったり、お客さんを見送る時にお店の外でキスをしてるところも見かけます。これらは過度なサービスで、同業者としてはやりすぎだと思って引いてしまいますね」
別の同業者はこう語る。
「未成年のお客さんが多い店だとは思ってましたが、去年の10月頃に突然、年齢確認をするようになったようです。ポイントを貯めた特典で未成年の女の子とデート中に警察に補導されたのが原因だと噂されてます。
ただ、その後も未成年らしき客は出入りしていたし、お店から酔っ払いながら出てきて外でタバコを吸う女の子に声をかけたら18歳だったこともありました。そんな子は歌舞伎町では珍しくありませんが、心配にはなりますよね」

本田容疑者が所属していた「メンコン」の入ったビル
利用客からも芳しい評判は聞こえてこない。
「一回だけ行ったことがありますが、『風俗で働いてるの?』とか『パパ活してるの?』とか聞かれたり、接客が気に入らなくて通いはしませんでした。あの店はお金をたくさん使わされると聞くから、お金を稼げる子を口説きたかったのかもしれません」(複数のメンコンに通う女性客)
「システムや価格帯は他のお店と変わらないが、ポイントの有効期限が短い。特典を受けるためには1か月以内にポイントを貯めなきゃいけなくて、みんなそのために急いで大金をつぎ込んでますよ」(別の女性客)
同店の悪質な客引きにあったという女性は苦々しい表情でこう話した。
「トー横(歌舞伎町の新宿東宝ビル付近)の近くで客引きにあったんですけど、その時は缶チューハイ片手にしつこく話しかけてきて。ずっとシカトしていたら、“クソ女”とか“ビッチ”とか言い出して、すごく腹が立ちました。そんな最悪な印象なので店に行ったことはありません。
容疑者が働いていたメンコンを直撃「営業妨害です」
「メンチカ」に「メンコン」。浜の真砂は尽きるとも……ではないが、金儲けの手段もいき過ぎれば犯罪につながる。捜査当局も本腰を上げはじめた。
「事件を担当しているのが家出少女などの保護なども担う少年育成課。家出を繰り返す“トー横キッズ”たちの補導やパパ活の実態を追っていくと、行きついた先が『メンチカ』『メンコン』で、彼らに入れあげるあまり、体を売る少女もいた。ホストクラブより敷居が低く、多くの少女たちが彼らの餌食になっている」(前出・社会部記者)

警視庁生活安全部もTwitterで注意喚起
1月31日の22時頃、逮捕発表がされた当日、本田容疑者が働いていたコンカフェは、まるで我関せずのように通常どおり営業していた。若い女性たちが次々と店に吸い込まれていく。
記者が店に入ろうとすると「男性は入れません」と店員に静止されたため、身分を名のり店長を直撃した。
――事件のことをお聞きしたいのですが。
「とりあえず今日は帰ってください」
――お店に未成年のお客さんはいますか?
「入れてないです、風営法取ってるんで」
――では以前は未成年の少女を入れていた?
「風営法の許可(おそらく風俗営業の許可証)を取る前の話なので」
――店のキャストが店内で未成年にわいせつ行為をするのは風営法にも違反しているのでは?
「あれは風営法取る前の話なんで、今日はもう帰ってください、営業妨害です」
ドアの向こうからは若い女性のはしゃぐ声が聞こえていた。警視庁は運営会社に家宅捜索に入るなどして実態解明を進めている。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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