50万円支給で持ち上げられた「期待の星」

「立憲期待の星」の寝返りは「今井氏の県議選落選がベストシナリオ」とする古屋氏の罠か、今井瑠々氏の目論見通りか_1
1月13日に野田聖子衆院議員同席のもと会見をおこなった今井瑠々氏
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「積み上げてきた活動を生かし、関係団体と政策を実行するためには、自民党の力を借りる必要がある」。
1月13日、今井氏は自民党岐阜県連で、岐阜1区選出の野田聖子衆院議員とともに会見した。ばっさりと切ったショートヘアで登場した今井氏は、立憲時代の自身を断ち切るかのように見えた。
だが、後ろに貼った野田氏との2連ポスターに写る今井氏の写真は、立憲時代のポスターと同じ。今回の自民への寝返りがいかに急なものだったかを物語っていた。

「立憲期待の星」の寝返りは「今井氏の県議選落選がベストシナリオ」とする古屋氏の罠か、今井瑠々氏の目論見通りか_2
今井瑠々氏のFacebookより

今井氏のこれまでを振り返ろう。
岐阜県多治見市出身の今井氏は、高校生のときに東日本大震災の復興ボランティアに携わった経験から、まちづくりや政治に関心をもち、2021年の衆院選で立憲から出馬した。

出馬会見は今井氏が被選挙権を得た25歳の誕生日の21年4月4日。東京から枝野幸男代表(当時)が駆けつけ、「立憲民主党を象徴する候補者」と手放しでたたえた。岐阜県内では、選挙のたびに野党が新人候補を擁立しながら敗北し、候補者が定着していない選挙区が多かった。

そんななかで、地元出身の若い女性候補者は立憲岐阜県連にとって「期待の星」で、会見後、県連幹部も「若いけど、しっかりしゃべれるいい候補でしょ」と相好を崩した。同年10月の衆院選では、古屋氏に敗北。だが、出馬表明からわずか半年ほどで惜敗率83.5%まで迫り、次回の衆院選では、当選が十分に視野に入るとの見方が強かった。

そんな今井氏に対し、立憲は資金を重点的に配分した。

「衆院選後、立憲は厳しい財政事情ゆえに、総支部長として選任する落選者を絞りました。総支部長になれない落選議員が多数いる一方で、今井氏はすぐに選ばれ、月50万円の活動費が支給されてきました」(全国紙政治部記者)

翌年の参院選では、東京、京都など重点選挙区の応援に駆けつけるという、イチ新人候補者としては異例の活躍をみせ、岐阜県連だけでなく、次世代を担う党の「顔」となっていくはずだった。