事件が発生したのは11月19日午前10時半ごろ。練馬区桜台の駐車場で、車を出そうとしていた、近くに住む、水道工事業の男性Aさん(60代)が、運転席の開いていた窓から首の右側をいきなり刺された。刺した女は自ら110番通報、駆けつけた警視庁練馬署員が殺人未遂の現行犯で女を逮捕した。
〈練馬殺人未遂〉「理容ハサミで隣人の首を突き刺し血まみれに…」 トロンボーン吹きだった46歳女性美容師を狂気へと駆り立てた“騒音”トラブルとは?
東京都練馬区で美容室を経営する女が仕事道具のハサミを握り締め、車で出発しようとした隣家の住人男性の首に突き立てた。過去に騒音トラブルもあったという両者に、白昼の都会の片隅で何が起こったのか。

練馬警察署
音へのこだわりが犯行に直結……?
犯行に及んだのは、Aさん宅に隣接するマンション1階部分で美容室「ポザウネ」を経営する玉置春奈容疑者(46)。刺されたAさんは駐車場脇の生花店に逃げ込んで助けを求め、近くの病院に運ばれたが重傷で、集中治療室で治療を受けている。同署には昨年8月から2回、玉置容疑者からAさんとの間の騒音トラブルに関する相談が寄せられていた。
玉置容疑者は音楽好きで、「音」へのこだわりが犯行に直結した可能性もある。

玉置容疑者が経営していた美容院「ポザウネ」
現場は西武池袋線の桜台駅と同線・都営地下鉄練馬駅のほぼ中間地点に位置する、線路からほど近い住宅や商店などの混在地域だ。親の世代からここに住んでいたAさんは古くから自宅を事務所にして水道工事業を営んでおり、近所づきあいも含めて地元の評判は良好だ。
近くに住む70代の女性はこう言う。
「Aさんにはお兄さんもいて、2人で親から引き継いだ水道屋さんを仲良くやってたんだけど、20年以上前にお兄さん一家が引っ越しされてからは独身のAさんが一人で切り回してたわね。Aさんは若い頃は消防団にも入ってたし、気さくでいい人で、騒音なんて聞いたこともないけどね」
また、近くの商店主(40代)はこう証言する。
「僕はこの店をオープンして2年も経たないのですが、開店にあたってAさんは配線のアドバイスをしてくれたり、電動工具を貸してくれたり本当に親切にしてくれました。うちとAさん宅も隙間がないぐらい近接しているので騒音があれば気づくはずですが、ピンときません。
Aさんのお仕事も訪問先での作業がほとんどでしょうし、強いて音が出るとしたら荷物の積み下ろしぐらい。ただ、Aさんは江戸っ子気質のところがあって、地声は大きかった」
「あいつに刺されたんだ」Aさんが逃げこんだ先は…
Aさんが命からがら駆け込んだ生花店では、経営者夫妻が懸命に救護措置に取り組んだ。119番通報して救急車が到着するまでの間、「あいつに刺されたんだ」と小声でうめくAさんを励まし、止血した。
「救急隊の方の指示だったので、ハサミは首に刺さったままで圧迫して止血しました。傷はかなり深く、6〜7センチは刺さっていて周囲は血まみれでした。妻はAさんが意識を失わないよう、一生懸命Aさんに声をかけていました」(生花店主)

理容ハサミ ※写真はイメージです
ほどなく救急車が到着、Aさんは搬送された。一方の玉置容疑者は、内向的であまり周囲と打ち解けるタイプではなかったようだ。近所の人の話によると、玉置容疑者は都内で理髪店を営む両親のもとで育ち、5〜6年ほど前にマンション1階の店舗を居抜きで借りて美容室を始め、自宅から通って来ていたという。
「ポザウネ」とは金管楽器トロンボーンの一種を意味するドイツ語で、自身もかつて演奏していたことのある楽器だった。
「開店時にはご両親も一緒にご挨拶に見えたし、ご本人も若々しくてジョギングが好きでマラソン大会にも出られるほどだと聞いたこともあります。でも、普段はすれ違っても挨拶もないし、ご近所付き合いもほとんどなかったと思います」(店主の妻)
ほかにも、玉置容疑者が思い込みが激しく、浮いた存在だったことが周囲の話から明らかになってきた。
逃げ出した猫を懐中電灯で探していた近所の人に「店を照らして覗いて来た」と文句を言ったり、Aさんの悪口を吹聴したり、客にもつっけんどんな態度をとるので徐々に客足も遠のいていったようだ。
それにしても、殺意を抱くほどの騒音トラブルとは一体何だったのか。

隣接していたAさんと玉置容疑者の店
事件1、2か月前には爆音でクラッシックを流して…
美容室の上階に住む男性はこう言う。
「Aさんは午後8時から長い時は日付けが変わるぐらいまでテレビを見るんですけど、窓が開いててマンション前の路上に出たら放送内容が全部わかるくらい聞こえてくるんですよ。僕は自分の部屋にいる分には聞こえてなかったけど、お隣の美容室にはうるさかったのかもしれません」
事件前にAさんと玉置容疑者の間に特段予兆のようなトラブルがあったことは周囲では知られておらず、男性も通報するような騒音トラブルがあったことは事件後のニュースで初めて知ったという。
しかし、続く証言が玉置容疑者の心の闇を突いているような気がしてならない。
「実は玉置さんも近頃変わったことをしてて…。1〜2ヶ月前なんですけど、午後8時から2時間ぐらい、スピーカーが音割れするほどの爆音でクラシックを流してたんです。僕の部屋にいてもドアの前に行くと聞こえるぐらいの音が一週間ぐらい続いて、ピタッと止んだ。今思えば、Aさんのテレビの音に対抗でもしてたんですかね」
Aさんと玉置容疑者の店のシャッターは閉ざされ、周囲は静まりかえっていた。
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