東京都千代田区で今年9月、公演チケットの不正転売に関わったとして10代女性の顔にモザイクをかけずに「転売ヤー」という字幕をつけてYouTubeに配信したことで、名誉棄損の疑いで13日に警視庁に逮捕されたのは、「煉獄コロアキ」という名前で活動していた杉田一明容疑者(40)。
もともと“迷惑系YouTuber”としても悪名を轟かせていた杉田容疑者だが、最近は“私人逮捕系YouTuber”としての活動がメインだった。芸能ライターはこう語る。
「コロアキのような私人逮捕系YouTuberが登場したのは、今からおよそ3年前。
近年では痴漢や盗撮にくわえて、チケット転売や投資セミナーといった一般人を相手に私人逮捕を繰り返すYouTuberが注目を集めていました」
名誉棄損による逮捕で注目される“私人逮捕系YouTuber”。「一般人には躊躇せず凸撃も、ケツモチがいる相手にはかなり敏感…」なナイーブな一面も。逮捕者はまだまだ続く?
痴漢、盗撮、チケット転売などに関与したと思われる人物に対し、無理やり体を押さえつけたり、顔にモザイクをかけずに動画サイトやSNSに投稿する……そうした行動を問題視する声も大きくなっていた「私人逮捕系YouTuber」についに逮捕者が出た。彼らのいったい何が問題なのか。その違法性や危険性を専門家に話を聞いた。
かねてより疑問視されていた「私人逮捕系YouTuber」の存在

名誉棄損で逮捕されたコロアキこと、杉田一明容疑者
そういったYouTuberのなかには動画内で私人逮捕を行なう際に関与したと思われる人物に対して暴力に近い行為をしたり、無理に捕獲しようとするあまり対象が階段を転げ落ちてしまったりする場面も散見され、ネット上では「やりすぎでは?」と批判の声も上がっていた。
週刊誌のベテラン記者はこうため息を漏らす。
「彼らには取材方法を教える師匠がいない。普通は、相手の敷地に入らない、直撃取材で相手に触れないなどといった取材のイロハを先輩から学んだり、取材相手に敬意を持つことを叩きこまれる。
しかし彼らはネットのカキコミや聞いた話、目の前の情報を信じすぎて、ノーブレーキで突き進んでしまう。ガーシー元議員(東谷義和被告)もそうだったが、裏取りが甘いんです」
私人逮捕系YouTuberは共通して承認欲求が強い
そんな彼らの素顔とはどんなものなのか。杉田容疑者とも交流のある実話誌ライターは語る。
「いろいろな私人逮捕系YouTuberに会ったことがありますが、窃盗で逮捕されたことがあったり、特殊な環境で育ってきていたりと、一般的ではない人生を送ってきた人も中にはいる。そのせいなのか、彼らは共通して承認欲求が強い。だからお金稼ぎだけでなく、『いかに自分が目立てるか?』に重きを置いている人が多かった印象です。
後ろめたい過去があるからこそ、動画内ではヒーローになりたいのでしょう」
一方で、こんな一面も。
「動画内でのパワフルな言動とは裏腹に、ナイーブな方たちが多いのも特徴。
コンプラ面でも意外と慎重で、私人逮捕動画の撮影に成功しても、『本当にこれアップしても大丈夫かな』『訴えらないよな?』とよく気にしていましたね。
また凸撃についても、一般人に対しては躊躇がないが、ホストや路上売春など“ケツモチ”のヤクザがいそうな案件にはかなり敏感になっていました」(同ライター)

勝手に警察車両に乗り込むなど、その活動には迷惑行為も多く含まれていた杉田容疑者
迷惑千万な彼らだが、「道さえ間違えなければ……」と残念がるのは、前出のベテラン週刊誌記者だ。
「やりすぎな面はもちろんあるが、彼らには行動力、突破力や物事に対しての好奇心がある。どこの媒体とはいいませんが、ネットの書き込みだけで“コタツ記事”(取材をろくにせずに書かれた記事)をつくるネットニュース媒体はたくさんある。
そんな編集部の人間よりも、よほど記者らしい動きをしているだけに、その能力とガッツを正しいことに使わなかったのはもったいない」
私人逮捕系YouTuberが逆に「逮捕」されるニュースは続くのか。
関係者によると「杉田容疑者のケース以外にも私人逮捕動画に関連した被害届は複数でており、警察も捜査している」という。

私人逮捕系YouTuberとして活動していた杉田容疑者
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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