〈立川・人気ラーメン店の悲劇〉立ち退き要求を拒否したら暴力団員がダンプで突っ込んできて…運転手は「居眠りしたままバックした」と言い訳。依頼したのはビルオーナーの医療法人でトップは今も海外に滞在中

2019年12月3日未明、立川市曙町のビル1階のラーメン店にダンプカーが突っ込み、店のシャッターや店内の調理器具などが破壊された。ビルの前の道は幅も狭く、ふだんからダンプカーがスピードを出して走るような道路ではなかったことから、当初から事故ではなく、故意に店に突っ込んだのではないか、との噂が飲食店関係者の間で囁かれていた。

「被害にあったラーメン店はいわゆる“家系”のラーメン店で、立川駅周辺の“家系”好きなら誰もが一度は食べに行ったことがあるような人気店でした。ダンプカーが突っ込んだという話は聞いていましたが、事故というよりは〝故意にやられた〟というニュアンスで私は聞いていました。というのも立ち退きをめぐってトラブルになっているとの噂が以前からあったからです」（飲食店関係者）

昼時だけでなく常に客足が途絶えることがなかったという人気ラーメン店に一体何があったのか。捜査関係者が語る。

「ラーメン店の入っていたビルを所有していた医療法人・颯心会が新築工事を計画し、テナントに立ち退きを求めていた。ラーメン店がこれに応じなかったため、颯心会が暴力団関係者に接触。逮捕された6人の中には住吉会系傘下組織や山口組系傘下組織の幹部がいて、事件翌日に幹部間で50万円の送金記録があったため、依頼の報酬とみて捜査を進めている。颯心会の実質的なトップである北篠容疑者が指示を出したとして逮捕状を取っているが、現在は海外に滞在しているようで、帰国しだい逮捕する方針だ」

近隣の不動産屋は、颯心会が予定していたビルの新築工事について当時の状況を振り返る。

「もともとラーメン店の入っていたビルと、その真横の駐車場、さらには裏手の2階建ての建物の敷地を使って8階建ての複合医療施設を建てようとしていると聞いていました。たしかに突然、ビルの新築工事についての看板が立ち始めた印象ですね。ダンプカーの事故については地上げじゃないかって噂はありました」

ラーメン店のオーナーの知人は立ち退きの経緯についてこう語った。

「2019年の春ごろにラーメン店の入っていたビルの隣の駐車場に突然、『ビルの新築工事について』と書かれた看板が立っていることに店の従業員が気付いたのが事の発端のようです。その看板を見たラーメン店のオーナーは、工事の対象に自身の店も入っていると知ってえらく驚いてましたね。それからちょっと経ったころに、大家から立ち退くよう要求されたみたいです」

ラーメン店のオーナーは、寝耳に水の状態で、「突然言われても困る」と営業を続けたそうで、2019年5月には立川署にも相談していたという。

「オーナーがどのような話をしていたのかまでは聞いていませんが、営業を続けていたら、ある日ダンプカーが突っ込んできたと聞きました。当初運転手は『居眠りしたままバックしてしまった』と言ってたそうです。ダンプカーが突っ込んだ後、店内は調理器具などが散らばり、ひどい状態だったとか。現在、店内は空っぽですが、看板や屋号はそのままの状態になっていますし、ビルも新築工事をした様子はありません。おそらく当初の計画は頓挫したのだと思います。事故後、店はめちゃくちゃで営業はできなかったそうですが、オーナーと大家の間で何らかの話し合いがもたれたとは聞いています」

その後、このラーメン店は、立川市内で移転し営業再開。今も変わることなくファンから愛され続けている。

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取材・文／集英社オンライン編集部ニュース班