沢田容疑者らは今年2月、同グループに所属していた男性(30)を新宿区・歌舞伎町のマンションや民泊施設に9日間にわたり監禁し、フライパンやバイクのヘルメットなどを用いて殴る蹴るの暴行を加えて全治6か月の重傷を負わせた上、わいせつな行為をした疑いがある。
国内最大級風俗スカウトグループ幹部が部下をリンチ・わいせつ・監禁し逮捕。「あそこはただのチンピラの集まり」イマドキのスカウトは路上で声かけより、SNSで金持ち風俗嬢になりすましてハンティング
警視庁暴力団対策課は11月1日、日本最大規模の風俗向けスカウトグループ「ナチュラル」に所属していた男性(30)を新宿区・歌舞伎町のマンションに監禁・暴行し、わいせつな行為をしたとして、同グループ幹部の沢田和哉容疑者(32)、兼子エディ容疑者(29)、幹部補佐の佐久間裕也容疑者(28)ら14人を監禁と強制わいせつ致傷容疑で逮捕したと発表した。同グループは新宿区・歌舞伎町の路上などで女性に声をかけ、風俗店に違法に斡旋することで報酬(紹介料)を得ていたとみられ、およそ1千人のメンバーが在籍していたという。
グループの規約に違反した制裁として14人からリンチ

歌舞伎町入り口(撮影/集英社オンライン)
「沢田容疑者や兼子容疑者などが幹部を務める『ナチュラル』は、1千人以上のメンバーが所属している国内最大規模の風俗向けスカウトグループ。新宿区・歌舞伎町を中心に全国の繁華街の路上で女性に声をかけ、風俗店に違法に斡旋することで報酬(紹介料)を得ており、被害にあった男性は、沢田容疑者のもとで働くスカウトのひとりだった。被害男性はグループの規約に違反した制裁として沢田容疑者ら14人からリンチを受けた」(社会部記者)
過去に歌舞伎町でスカウトをしていたという男性(20代)は同グループの印象についてこう語る。
「『ナチュラル』は歌舞伎町のなかでも上位5社に入るほど売上をあげているイケイケなスカウトグループでしたが、同業者からの評判はよくなかったですね。あそこのスカウトはいかにも反グレって感じの子が多かったし、グループ内のルールが厳しいことでも知られていました。スカウトは女の子を性風俗やAVに斡旋することでバック(報酬)が発生するのですが、ナチュラルは他社よりも10~20%ほど低くバックが設定されているので、『あそこは条件が悪いよね』と言われてましたね。さらに女の子の管理も厳しいようで、『体入(体験入店)』の段階でお店を飛ばれたりすると、その責任を担当スカウトが負わされるようでした」

幹部の兼子エディ容疑者(本人SNSより)
歌舞伎町でキャッチをしている男性(30代)も、「あそこ(ナチュラル)はおかしい」と吐き捨てる。
「テレビでは『日本最大級のスカウトグループ』なんて報じられてるけど、同業者からは『ただのチンピラの集まり』と避けられてたね。歌舞伎町では、たまにスカウト同士の揉めごととかが起きたりするんだけど、ナチュラルはそういうのにはだいたい関わっていた。それこそ3年前に起きた『スカウト狩り』だってそうだし、なにかトラブルが起きたときにはあそこの名前が出てきて、『ああ、アイツらはまともじゃないから仕方ないね』と言われてた」
近年、食えないスカウトが「受け子」や「掛け子」に…
この男性がいう「スカウト狩り」とは、2020年6月に歌舞伎町で起きた、暴力団関係者が「ナチュラル」のスカウトにおこなった暴行事件のことだ。実話誌ライターはこう解説する。
「『スカウト狩り』は、ある『指定暴力団』の下部組織が100名がかりでナチュラルのスカウトたちに暴行を加えた事件で、このトラブルの原因となったのが、それまでナチュラルがおこなってきた他社のスカウトの引き抜き行為でした。優秀なスカウトが次々とナチュラルに移籍したことで同業者たちが不満を募らせ、お互いの”ケツモチ”でもある暴力団の下部組織による手打ちの会談が開かれることになりましたが、それをナチュラル側が拒否したことで、このような乱闘騒動にまで発展しました」

警視庁
前述の、歌舞伎町でキャッチをしている男性(30代)もこう語る。
「ケツモチのヤクザに盾つく時点でフツーは考えられない。ナチュラルのメンバーは気性が荒いから、スカウト狩りを受けたときもかなり抵抗したそうです。 今回の暴行事件も、ナチュラルの関係者は『グループの決まりを破ったからボコっただけ』って言ってたよ。スカウトは集金のために毎日決まった時間に集まらないといけないんだけど、その集まりに遅れたとか、集金の額が足りなかったとか、その程度のことが原因らしい。こんな身内の揉めごとなんてナチュラルではしょっちゅう起きてるだろうし、まさかメディアにここまで報じられるとは思ってなかったんじゃないかな」
歌舞伎町のスカウト界隈が激震に揺れた今回の事件。昨今のスカウト事情に関して、前述の実話誌ライターはこう語る。
「スカウトと聞くと、『お金を稼いでいそう』とイメージする方も多いかもしれませんが、実際はほんのひと握りしか稼げないシビアな業界です。もちろんSNSには、セルフプロデュースの一環として札束や高級車がうつった写真をアップしていますが、いくらグループの規模が大きかろうと、給料が20万円を切っているスカウトもザラにいますし、稼げなくて実家を出られないスカウトも少なくありません。そこで近年では、食えないスカウトが『受け子』や『掛け子』といった闇バイトに手を出すことも珍しくありませんし、実際にナチュラルでも、違法なクスリをキャッチなどに流していたスカウトがいて問題になってました」

SNSで金を見せびらかしていた兼子エディ容疑者(本人SNSより)
今の王道は「風俗嬢」や「パパ活嬢」のなりすまし
近年では、スカウトの集客方法も変化しているという。前述の、過去に歌舞伎町でスカウトをしていた男性(20代)はこう語る。
「ここ数年の間にスカウトの集客方法は、路上(ストリート)からSNSへと変わり、とくに今、王道といわれているのが『風俗嬢』や『パパ活嬢』になりすましたアカウント。ふだんから大量の札束や、ホストクラブで豪遊するような“金持ちアピール”をすることで、女の子をおびき寄せるんです。実際には、ネットで拾った画像を使い回しているだけですし、宣伝目的で『アマギフ1万円プレゼント企画』とかもやるんですけど、もちろん誰も当たりません。
それでも、たまに女の子から『どうしてそんなに稼げてるんですか?』と相談が来るので、『この〇〇(自分)というスカウトがいい店を紹介してくれるんです』と、自作自演するわけですね。ひと昔前は、『#出稼ぎ』『#風俗』といったハッシュタグとともにツイートするスカウトのアカウントも多かったのですが、今は成りすましのアカウントを何十個も使い回し、SNS経由でつながった女の子を風俗に斡旋するといった感じです」
時代とともに変化していくスカウト事情。「受け子」や「掛け子」もしながら女性を騙す彼らは、スカウトマンではなく、もはや“粗暴な詐欺師”である。

歌舞伎町(撮影/集英社オンライン)
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
新着記事
動画配信事業で苦戦か…エンタメ業界の巨人ディズニーがアクティビストに狙われる理由

忍者の里を越えたら韓国寺院。知られざるニッポンの異教世界




夫婦同姓が婚姻の条件になるのは世界で日本だけ。地裁では同性婚を認めないことは憲法違反の判決も…世界から取り残される日本の婚姻制度
ルールはそもそもなんのためにあるのか #1