斎藤・青木の容疑者2人は共謀して7月22日午後11時ごろに源証寺に侵入。地下の納骨堂内に練炭28個を設置して火を着けて堂内に一酸化炭素を充満させ、翌23日朝に納骨堂に入ってきた大谷さんを一酸化炭素中毒死させた疑い。また、納骨堂から南に約15メートル離れた焼却炉の中からガソリンが入ったペットボトル十数本も見つかっており、同課は2人が設置したとみている。
〈足立区住職・練炭28個燃やして殺害〉逮捕の霊園開発会社社長(50)と“美魔女”役員(63)は不倫の末に…ガソリン入りペットボトルも準備していた入念な計画
浄土宗の古刹の住職は、なぜ納骨堂で殺されなければならなかったのか——。東京・足立区入谷の「源証寺」で今年7月、住職の大谷忍昌さん(当時70歳)が不審死を遂げる事件があり、警視庁捜査1課は10月7日、練炭を用いて一酸化炭素中毒で殺害したとして千葉県鎌ケ谷市の霊園開発会社「鵠祥堂(こくしょうどう)」社長の斎藤竜太(50)=鎌ケ谷市=と役員の青木淳子(63)=東京都練馬区=の両容疑者を殺人などの容疑で逮捕した。2人とも容疑を否認しているという。
霊園運営を巡り、販売方針などでトラブルが深刻化
社会部デスクが解説する。
「源証寺は3年前に敷地内に『足立セメタリーパーク』という庭園型の霊園を開設しており、鵠祥堂が墓石販売や管理などを請け負っていました。しかし同社と大谷さんとの間で販売方針などを巡って意見が対立するようになった。最初に取り決めたことを後から大谷さんが『墓を建てるのに法要をしなければならない』『墓に入れるのは在来仏教徒に限る』などと覆したことで、トラブルが深刻化したようです。大谷さんの行動パターンを熟知していたふたりは、大谷さんが日頃、廃材などの焼却に利用している焼却炉にガソリン入りペットボトルを大量に仕込み、仮に納骨堂での殺害が失敗しても焼き殺そうと企図したとみられます」
二段階に及ぶ残忍な仕掛けで殺害を計画したふたりは、大谷さんにどんな恨みを持っていたのだろうか。
源証寺は室町時代末期の1532年(天文元年)に創建され、江戸時代には聖徳太子を祀る太子堂が境内に建立され、足立区の文化財にも指定されており、古くからの檀家も多い。
歴史を感じさせる荘厳なたたずまいで、大谷さんは41代目の住職だという。近くに住む80代の男性が語る。
「事件があった7月23日は救急車が3台、消防車も4台は出動して大騒ぎだったな。霊園業者と揉めてたことは知らなかった。家族は住職と奥さんの間に娘さんが4人いるが、全員嫁いでるし、お金に不自由はしていなかったはず」

殺害された大谷忍昌さん
大谷さんが当代になってからは、さらに寺院経営をしっかりしていたようだ。男性が続ける。
「大谷さんとはつきあいが深いから、よく野菜を届けていたんだけどそのときはニコニコしていたね。でも墓の掃除や管理費で年にけっこうな額を取るんだよね。『自分でやるからまけてくれ』ってお願いしても、そういうのは聞いてくれない。でも当人はそんな派手にお金を使うことはなくて、庭つくりを一生懸命していたよ。杉の原種やケヤキを植樹したり、苔を育てたり、自分もユンボに乗って真っ黒に日焼けしていたよ。大谷さんの本葬は9月にやったんだけど、参列者が300~400人くらい来ていた」
動物好きで知られた斎藤容疑者
大谷さんと古くから付き合いがある近くの住民男性は、残念そうに肩をすくめた。
「忍昌とは昔から遊び仲間でさ、昔はおとなしくて『チンネン』ってあだ名で呼ばれてた。ロケット花火を打ち合ったり、一緒にイタズラすることもあったけど、大人になって家業を継いでからは仕事の話が多くなって…。30代のころはレースにはまって富士スピードウェイとかにも通っていた。忍昌は4人きょうだいで上が姉で下も妹だから、やつがそのまま継いだんだよ。
古い寺だから、いろいろ建て直したり修繕工事とかも必要だったのかもしれないが、お布施の催促は頻繁だった。何かの建て直しだとか、葬式をやる客殿も寄付を募って建てたんだ。檀家や世話人は『金がかかる』って嘆いてたよ」

源証寺の広い敷地(撮影/集英社オンライン)
一方、千葉県鎌ケ谷市に住む斎藤容疑者は、近所では動物好きで知られていた。
「斎藤さんは近所づきあいも悪くないし、柴犬だと思うけど黒い犬を飼っていたから散歩のたびに顔を合わせていた。長話するわけじゃないけど、犬同士がじゃれあうから挨拶はするって感じで。いつもニコニコしていて、おとなしい印象しかないな。黒い犬は『まめちゃん』と呼んで可愛がっていたけど、2年前くらいに『死んでしまいました』と報告してくれた。それ以来、犬の散歩に出かけても会わなくなったから話はしてないけど、犬のほかにもウサギやらオカメインコやらいろいろ飼っていたよ。動物好きという印象があるし、事件のニュースを見たときはただ驚いた」(近くに住む男性)
斎藤容疑者が10年近く前に通っていた美容室のオーナーも驚きを隠せなかった。
「斎藤さんはご夫婦で何回か通ってきてくれました。どちらが先に来られたかは覚えていませんが、ご主人の方は本当に普通の方という印象しかありません。話し方もとても穏やかで、近所づきあいも普通にされて、雪が降ったときに雪かきやバールをお貸ししたこともあります。お仕事は墓石屋さんとおっしゃっていたので、珍しい職業だなとは思っていました。奥さんのほうはどちらかというとはっきりした口調で、斎藤さんより10歳ぐらい年上に見えました」

動物好きで知られた斎藤容疑者
斎藤夫婦に子供はなく、いろいろなペットを飼っていることは美容室でも知られていた。
「ウサギやインコなど小動物をたくさん飼っていると聞いたことがあります。事件があったのは7月みたいですけど、ここ最近も頻繁にお見かけしましたよ。ゴミ出しやお庭の手入れの際も何も変わった様子なく、すれ違えば『おはようございます』と挨拶もしてましたし。実は先週の土曜日に、斎藤さんのお宅の周辺に5、6人くらいの私服の方たちが立っていたので何かあったのかなとは思っていましたけど」
男物の下着を干していたから恋人だと思っていたけど…
鵠祥堂の役員として斎藤容疑者を支えていた青木容疑者は、シングルマザーとして娘を育て上げたようだ。自宅近くに住む70代の男性が語る。
「青木さんとこはもう40年くらい前からここに住んでいるよ。最初はご両親と本人、娘さんの4人で住んでいたな。前の旦那と離婚して戻ってきたんだね。越してきた当初は娘は小学校に入ったばかりだったけど、今は結婚して子供も3人くらいいて、よく淳子さんに会わせにきてたよ」

青木容疑者(本人facebookより)
青木容疑者も犬を可愛がっていたようだ。住民はよく覚えていた。
「娘が出て行ってからしばらくヨークシャテリアの『チョコたん』って犬を飼っていたけど、4,5年前に死んじゃってさみしそうだったな。淳子さんは引っ越してきたころは大手の生命保険会社の外交員をしていて、人当たりもいいから成績も優秀で何度か表彰されたってお母さんが自慢していたよ。ご両親が亡くなってからはずっとひとりだったね。いつのまにか霊園の仕事を始めたみたいで、習志野ナンバーのプリウスに乗るようになっていたから理由を聞くと『会社が市川にあるから』とは言っていたけど」
一人暮らしが長くなっていた青木容疑者の家に、最近中年の男性が出入りするようになっていたという。
「逮捕された斎藤さんが何度か出入りするのを見かけたよ。夜一緒に帰ってきて、朝一緒に出て行ったりしてね。男物の下着を干していたから恋人だと思っていたけど、相手は既婚者だったんだね。淳子さんは身なりにも気をつかっていて、60歳を過ぎているようには見えないし、犬の世話で何度か家にもいったけど部屋もとても小ぎれいだったよ。金にもそこまで困ってるわけでもないし、何であんなことしたのか…」
おとなしい社長を支えるやり手のシングルマザー。二人は道ならぬ関係になり、仕事で抱えたトラブルにおいても、決定的に道を踏み外してしまったのだろうか。

源証寺(撮影/集英社オンライン)
※「集英社オンライン」では今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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