昨年2月4日23時25分ごろ、救急に永沼容疑者から「息子が息をしていない」と通報があり、心肺停止状態の3歳の長男、清水奏良(そら)くんを緊急搬送するも、搬送先の病院で死亡が確認された。司法解剖の結果、奏良くんは吐いたものを飲みこみ、窒息死した可能性があるとみている。
奏良くんの遺体には目立った外傷がなく、栄養状態も問題なかったとしている。
事件当時、夫は不在で永沼容疑者と奏良くんの2人きりだった。永沼容疑者は掛け布団などで奏良くんを筒状に巻いて拘束。十数分後、隣室にいた永沼容疑者は泣き声が聞こえないことに気づき、119番通報した。
「捜査関係者によると、9月28日に傷害致死の疑いで逮捕された永沼容疑者は『子供が泣き叫ぶのを防ぐため、しつけのために布団を巻き付けた』と容疑を認めており、『言うことを聞かないときは、以前から布団を巻いていた』と常習性があったとみられる供述もしているようです」(全国紙社会部記者)
<我孫子・3歳児を布団で巻き窒息死させた疑いで母親が逮捕〉「2時間泣き叫ぶ声」近隣が通報も、夫は「大丈夫なんで!」子ども虐待防止対策室は「命の危険性があるとき」に該当しないと判断
去年2月、千葉県我孫子市の自宅で3歳の長男をしつけと称して布団を巻き付け死なせたとして、千葉県警は9月28日、自称・動画編集業で母親の永沼楓月(ふづき)容疑者(27歳)を傷害致死の疑いで逮捕した。我が子を手にかけた永沼容疑者とその一家について、近隣の住民が証言する。
頻繁に家族で出かけていた普通の若いファミリーだった

我孫子警察署(撮影/集英社オンライン)
奏良くんの死亡後、夫とも離婚した永沼容疑者。最悪の結末を迎えた一家だが、この場所に引っ越してきた当初は問題のある家庭ではなかったようだ。アパートの近隣に住む70代の女性はこう話す。
「アパートに家族が引っ越してきたのは、奏良くんがまだ赤ちゃんのころだったから、今から2、3年前くらいかな。お母さんは黒髪っぽいセミロングで素朴で、お父さんも真面目っぽい雰囲気。家族3人で出かける姿もしょっちゅう見ていたし、本当にふつうの若いファミリーという感じでした。まさか虐待や暴力をするような人には見えませんでした……」
チャイムを押しても子供の泣き声が聞こえるだけで無反応
しかし、2021年の夏ごろから一家に徐々に異変が起きる。
「そのころから週2、3回のペースで奏良くんの泣き声が聞こえるようになったんです。しかもぐずるような感じではなく、『ワー! ワー!』と泣き叫ぶような声が2時間近くも続くんです」(同)
虐待を疑った近隣住民は一家の様子を尋ねることもあったという。

事件当時、永沼容疑者が住んでいた我孫子市のアパート(撮影/集英社オンライン)
「その年の11月ごろに近所の人と一緒にアパートのチャイムを4、5回ほど押したら、ドア越しにお父さんの声で『大丈夫なんで!』と言ってきまして……。『これはマズい』と思って我孫子市の子ども虐待防止対策室に電話して対応してもらうようにお願いしたんですけど、その後も奏良くんの泣き声が止むことはありませんでした。今年1月ごろにも再度アパートのチャイムを押したんですが、ドア越しに鳴き声が聞こえるだけで返答は一切なく……」(同)
事件が起こったのはその2週間後だったという。50代の近隣住民女性もこう話す。
「私はそこまで気にならなかったけど、以前、アパートのすぐ近くに住んでいた人から『(泣き声が)すごくうるさくて困ってるの……』と相談されたことがあります。あまりにもひどかったので虐待されてるんじゃないかと何度か児童相談所に連絡して、直接自宅に行って『大丈夫―?』と声をかけたけど、まったく返答はなかったそうで……。
こんなことになってしまい本当に残念だし、どうにか保護してあげられなかったんですかね」

安孫子市役所(撮影/集英社オンライン)
市の対応はどうなっていたのか。前出の70代女性は話す。
「事件があった翌日に我孫子市の『子ども虐待防止対策室』に電話して『家には行ったんですか?』と聞くと『行ったけどドアを開けてもらえなかった』と言っていました。事件直前まで、毎朝7時半ごろに保育園に向かうためにお父さんと手をつないで車に乗り込む姿を見ていたから『どうにかしてやれなかったのか...』と残念でなりません。
ただ、家族3人で出かける姿は見ていましたが、お母さんと奏良くんが2人で外出するのは一度も見たことはありませんでした。お父さんに懐いている感じで、『あのお母さんは子育て嫌いなのかな?』と思ってました。事件が起きた2ヶ月後には、お父さんは家を出ていったと聞いています」
我孫子市子ども虐待防止対策室の対応は十分だったか
我孫子市の子ども虐待防止対策室に近隣住民から通報があった事実と対応について問い合わせると、以下のような回答があった。
「2021年の11月18日に、近隣住民の方から『男の子が2時間くらい泣いている。市で何かしてほしい』と連絡を受けました。通報を受けた当日午後、そして翌日午前にアパートへ訪問しましたが、どちらも応答はなく、お手紙(連絡票)を差し置きました。
午後になり母親から連絡があり、必要なことについてお答えいただきましたが、その詳細については控えさせていただきます。ただ、『困っていることはあるが、相談しても解決につながらない』といった旨の話をされていて、こちらが介入することに対して迷惑そうな様子でした」
担当者は奏良くんと接触する機会もあったという。
「通報から48時間以内に子どもの安否を確認する必要があるため、同日午後に再度アパートを訪問しましたが、見える範囲でアザや傷といったものは見受けられず、こちらが手を振ると振り返してくれ、目が合うと微笑み返してくれました。
一般的に、お母さんに対して恐怖心をいだいているお子さまは表情が暗い傾向にありますが、そういった様子も見受けられず、送致の判断基準である『身体の危険性が高く、命の危険性があるとき』には該当しないと判断したため、保護には至りませんでした」

永沼容疑者の実家(撮影/集英社オンライン)
事件後、アパートを引き払い実家に帰っていた永沼容疑者。その実家付近で永沼容疑者の姿を目撃していた近隣住民の40代女性は驚きを隠せない。
「今年の春ごろまで、たまに永沼さんとはすれ違うことがあって『こんにちは〜』と元気に挨拶してくれていました。いつも明るいし、どこにでもいる素朴なかわいい女の子と思っていたので、まさか子どもがいて、それを虐待して死なせてしまったとは信じられません……。
それこそ家族で出かけることも多くて、弟さんとお母さん、お父さんと一緒に車に乗り込む姿も見かけたことがあります。『仲睦まじくていい家族だな〜』と思っていたので、本当に驚いています」
母子にいったい何があったのか。真相の解明が待たれる。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
新着記事
「僕だって大御所芸人の番組を途中で帰ったことあるよ」…いじめに悩む高2男子をとろサーモン久保田が激励「あなたは自分から波風を立たせることができる」
とろサーモン久保田の立ち呑み人生相談#8
背の低いトム・クルーズを気遣い、ハイヒールを脱いで裸足で歩いたニコール・キッドマン、戸田奈津子が見たかわいい素顔
長場雄が描く戸田奈津子が愛した映画人 vol.28 ニコール・キッドマン
【こち亀】まさかの原作改ざん! 100万部小説の実写化で、主演の撮影時間は30分しか取れず…
