〈柏・20分間殴られた24歳同居女性が死亡〉逮捕された刺青男(22)はヤクザや経営者に憧れるトラブルメーカー「上にはペコペコして下の人間の前では横柄…まさに“小者”でした」
「昔の彼女に戻ってほしかった」——? 24歳の同居女性を“撲殺”した22歳の男の言い分にはたして理はあるのか。千葉県柏市のマンションで同棲していた若い男女の間に何があったのか。
飲食店員は「男はとにかく『厄介な客』だった」
9月23日、千葉県柏市末広町のマンションの一室で「女性が倒れている」と男の声で119番通報があり、飲食店従業員、斎藤瑞希さん(24)が病院に運ばれたが間もなく死亡した。斎藤さんは顔や腕など全身に傷やあざがあったが司法解剖でも死因が判明せず、千葉県警は24日、同居していた自称自由業、小松魁人容疑者(22)を傷害容疑で逮捕した。今月10日未明、斎藤さんに対して約20分間にわたって暴行を加えてけがをさせた疑い。

死亡した斎藤瑞希さん(知人提供)
小松容疑者に何度も殴りつけられた斎藤さんは2週間生死の境をさまよい、絶命したことになる。社会部デスクが解説する。
「柏市内のキャバクラに勤めていた斎藤さんはお酒を飲み歩くのが好きで、ときに度が過ぎることもあったといいます。送検の際に見えていましたが、首に大きな刺青をいれた小松容疑者は、ふてぶてしい表情で歩いていましたが、調べに対し容疑を認め『何度も危険な目にあって倒れていたので、目を覚ましてほしかった。昔の彼女に戻ってほしかった』などと長時間に及んだ暴行の動機を説明しているようです」
小松容疑者は2015年に宇都宮市内の市立中学を卒業後、地元で建築関係の仕事を数年した後、茨城県内の飲食店従業員を経て、2022年から柏市内のキャバクラ店で働くようになったという。経緯を知る関係者はこう証言する。
「茨城県で店長をしていたキャバクラがコロナの影響で潰れたので、柏にやって来たということでした。若くてハキハキしゃべって、頭の回転も早く、受け答えも人当たりもよかったのでお客さんからも『コマツ、コマツ』と親しまれていました。営業中は口調もていねいで何の問題もなくこなしていましたが、怒りの沸点が低いんだろうなと思うことは多々ありました」

トラブルメーカーだった小松容疑者(知人提供)
いら立つとすぐ表情に出たり、インカムでの受け答えがぶっきらぼうになることもあったという。
「上の人間に怒られて言い返して論破されたときはよほど悔しかったのか、涙を流していたくらいなので、感情の起伏は激しいほうだと思います。アルバイトや自分より立場が下の人間を注意する際は『やれよ』とか横柄な物言いになることもありましたが、お客さんや目上の人間には人懐っこい感じでした。『自分、何でもします。何でもできます』というスタンスで接し、勝手に料金をまけてしまって、後で店からしっ責されることもありました」
「おじいちゃんがヤクザ」「組に所属して本部長になりました」
相手によって態度を変えて接する一面は、客として出入りしていたキャバクラでも有名だったようだ。40代のボーイが苦々しく振り返る。
「ウチには週に3~4回くらい来てたけど、とにかく『厄介な客』だった。なにがムカつくって、アイツ一人のときと、(自分が勤務していた店の)社長と来るときで態度を変えるんだよ。一人のときは、女の子に『自分は経営者だ』とかって自慢話ばっかりしてるんだけど、社長と一緒のときはご機嫌取りに必死で、少しでも社長がつまらなそうにしてるとボーイに『おい! なんで俺がドリンク作ってんだよ!』と突っかかってくるんだよね。
まさに『小者』で、自分より立場の弱い人にはめっぽう当たりが強かった。一人のときは酒をちびちび飲むだけで、シャンパンを入れたこともほとんどないから『経営者って話もどうせウソだろ』とボーイにも足元見られてましたよ。最後は出入り禁止になったと思います」

シャンパンを開ける小松容疑者(知人提供)
年長者の懐に飛び込むのが上手で、成り上がりたい思いが強かった小松容疑者は、自分を大きく見せることに腐心していたようだ。先述の関係者が続ける。
「嘘か本当かはわかりませんが、『池袋で人を使って建設業で稼いでいる』『家が3つある』『おじいちゃんがヤクザ』みたいな話から、『組に所属して本部長になりました』とか言ってたので、ヤクザに憧れてたんだと思います。プライベートではとにかく揉め事が好きで、誰かと誰かが揉めていると聞けば先陣きって動くようなやつなので、仲間内からは評判がよかったんです。仲間の揉め事でも一番に動くわけですから」
仲間から見れば「トラブルバスター」かもしれないが、実際は単なるトラブルメーカーだった。柏でも仕事は長く続かず、柏市内や茨城県土浦市内の店を転々していた小松容疑者は約3~4カ月半年ほど前、斎藤さんが勤めていたキャバクラ店に流れ着いた。2人と交流のある知人が語る。
「瑞希はとても明るくていい子だよ、友達も多かったし。ただ悩みやすい一面はあって、私がいろいろと相談にのっていたこともあった。2人が知り合ったのは瑞希が働いていたキャバクラで小松君が働きだしたからだよ。すぐに『風紀』(スタッフ同士が交際すること)がバレて2人ともお店を辞めたから、小松君は勤めて1ヵ月間ぐらいしかいなかった。
瑞希はもともとこの辺りで飲み歩くのが大好きだったんだけど、ぱったりと飲み歩くのをやめて、昔から仲が良かった連中とも連絡が取れなくなった。小松君の束縛が激しかったんでしょう。瑞希はたしかにちょっと酒乱の気はあったけど、女の子を殴って止めなきゃいけないような状態にはならないと思うんだけど。ほんとかわいそうに……」
ヤクザに憧れる見栄っ張りの「小者」が、笑顔が絶えない女性を死にいたるまで殴りつけた。そこに正しい理屈などない。
(#2に続く)

斎藤さんの自宅前には花や飲み物が供えられていた(撮影/集英社オンライン)
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@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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