現場となったのは、新横浜駅から西に約700メートルほどの、いわゆる”ラブホ街”の一角にあるラブホテル。ホテルのホームページによると、病院の診察室を模した部屋から、学校の教室やスポーツジム、部屋全体に金色のタイルが貼られたラグジュアリールームまで、独自のコンセプトを打ち出している。また、バニーガールやメイド服、ナースといった無料貸出コスプレ衣装も58種類を超える。
〈横浜ラブホ・クローゼット殺人〉「殴ったら死んでしまった」逮捕された男の父は一流広告代理店に勤務。近隣が見たエリート一家の“闇”
横浜市港北区のホテルで9月7日、海老名市在住の増田有華さん(32)の顔を殴るなどして殺害し、遺体を遺棄したとして、神奈川県警は9日、京都市左京区在住の土屋京多郎容疑者(24)を逮捕した。県警によると、同容疑者は静岡県内の警察署に親族と出頭し、「殴ったりしたら死んでしまった」と説明したが、逮捕後は「やっていません」と容疑を否認しているという。
クローゼットの中から体育座りをした女性の遺体が

事件現場となったラブホテル(撮影/集英社オンライン)
ホテルの一室で、凄惨な事件が起きたのは7日夕方のこと。社会部記者が解説する。
「被害者の女性がチェックアウトの時間をすぎても退室しなかったため、不審に思った女性従業員が室内を確認したところ、クローゼットの中から体育座りをした女性の遺体が見つかった。死因は脊髄損傷で、顔には打撲痕が複数あったことから、神奈川県警は、遺体が見つかる前に部屋を出ていた男の行方を追っていた」
同県警は殺人事件と断定し、捜査本部を設置するなどして捜査を進めていたが、その2日後に事件は思わぬ結末を迎える。9日の午前8時45分ごろに、一人の男が静岡県内の警察署に親族とともに出頭したのだ。
「逮捕されたのは、京都府左京区在住の土屋京多郎容疑者(24)。同容疑者は出頭時に『女性を殴ったりしたら死んでしまった』などと説明していたが、その後は『やっていません』と容疑を否認している」(同)
捜査関係者によると、土屋容疑者と被害女性は事件前から複数回会っていたことがわかっていたが、新たに土屋容疑者は「SNSを通じて知り合った」「京都でも会った」などと供述。今後は詳しいいきさつについて調べを進めていくという。
土屋容疑者は京都市内出身で、幼少期に家族で都内のマンションへ引っ越し、その後父親が世田谷区内で一軒家を購入した。小学生時代を過ごしたというこの一軒家の近くに住んでいる男性は、集英社オンラインの取材にこう語った。

一家がかつて住んでいた世田谷区内の一軒家。今は賃貸に出している(撮影/集英社オンライン)
「土屋さん一家が引っ越してきたのは、2007年から2008年ごろ。中古の一軒家を買ったみたいなんだけど、お母さんとお父さん、そして小学生くらいの息子さんが2人と妹がいて、ごくふつうの一家だったな。近所でお父さんに会うと『今日は暑いですね~』なんて話しかけてくれて、気のいい社交的な人って感じだった。
お母さんは専業主婦であまり外に出るタイプじゃなかったけど、会ったら『こんにちは~』と挨拶してくれたね。家族の仲も良さそうで、毎年夏に行われる『下北沢阿波おどり』にも家族で来ていたし、お子さんも楽しそうに笑ってたな。ハワイに旅行に行く前は、お子さんがハキハキと英語を話しているのも聞いたことがある」
2階から「ママー! ママー!」と男の子の叫び声が
傍からみれば「幸せそうな家族」そのものだが、いっぽうでこんな“出来事”もあった。
「日中に家の2階のほうから『ママー! ママー!』と男の子がすがるように叫ぶ声が聞こえてくることが何度かあって、『あの家、大丈夫かな…ネグレクトかな』と心配してたんだよね。結局のところ、東日本大震災が起きた2カ月後に、家の前に引っ越し業者のトラックが停まっているのを見たきり、姿も見かけなくなった。あの頃、放射能汚染問題が盛んに報じられていたから、『避難した』と聞いている。でも、お父さんは忙しいかただったから東京に残ったようで、その後も下北沢の駅前で何度か見かけたことはあったね」(同前)
父は大手広告代理店に勤めるエリート社員だった。
「ディレクター、コピーライターとして実力を発揮し、過去にコンペでいくつも賞を受賞している。近年では、キャッチコピー制作のほか、商品開発による地域振興などのプロジェクトも多数手がけてきた」(広告代理店関係者)

土屋容疑者(写真/共同通信社)
2011年を境に、一家の”大黒柱”が不在のまま引っ越したのは、京都市左京区にある分譲マンションだ。登記簿情報によると2003年6月にこのマンションを購入、残った父は世田谷の自宅を他人に貸し、自身は賃貸住宅へ引っ越した。

土親容疑者が住んでいた京都の自宅マンション(撮影/集英社オンライン)
エリートの父のもとで育った土屋容疑者。今回の事件に、同じマンションに住む女性(60代)は驚きを隠せない。
「ニュースで知って本当に驚きました。土屋さん一家が引っ越してきた当初から、お母さんと仲よく手を繋いで歩いている兄弟の姿を見ていましたし、今年の初めにも、近所で3人が歩く姿を見かけていたので、まさかこんな事件を起こすなんて今でも信じられません」
土屋容疑者と増田さんの間に何が起こったのか。事件の全容解明が待たれる。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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