ryuchellさん急逝から2日が過ぎた7月14日、親交があった多くの著名人が自身のSNSなどで追悼のコメントを掲載、悲しみの声が溢れている。
ryuchellさんは、昨年8月にpecoさんとの婚姻関係を解消して以降、ネット記事やSNSでの誹謗中傷が増えていた。一部報道では知人に「最近ホルモンバランスが悪い…」と胸の内を打ち明けていたことも報じられている。
〈ryuchellさん死去〉LGBTイベントで共演した美川憲一は「人は誰もが強くもあるけど脆いのよ。誹謗するより励まし合って生きましょうよ」共演者・スタッフから追悼の声続々、誹謗中傷に苦言も
タレントのryuchellさん(本名/比嘉龍二=ひが・りゅうじ 27歳)が7月12日に亡くなった。今年4月ryuchellさんと共にLGBTイベントに参加した美川憲一がその早すぎる死を嘆く。また、ryuchellさんがレギュラー出演中だったAbemaTVの『Abema Prime(アベプラ)』が同日に放送され、テレビ朝日の平石直之アナウンサーが訃報を報じた。共演者たちがryuchellさんを振り返る。
洞察力のある方なので批判や中傷をまともに受けとめていたのかもしれない

写真/集英社オンライン
生前最後の出演となってしまった6月29日の『アベプラ』出演時には落ち込んだ様子は一切見せず「校則のあり方」について持論を展開していたryuchellさん。当日に共演していた近畿大学情報学研究所長で株式会社KADOKAWAの社長の夏野剛氏は言う。
「最近は女性のファッションに身を包み、以前よりも口調や雰囲気も一層落ち着いた感じでした。当日は自身の経験を元に“生徒自身による校則を変える権利”や“生徒に校則について発言できる場を与えることで学校自体の評判もよくなる”などをご意見されていました。
私がryuchell さんと初めて会ったのは約7年前ですが、その頃から聡明な人だという印象でした。知識がないこと、全くバックグラウンドがわからないことについても、適切な、まともなコメントをされていたのが印象的でした。洞察力のある方なので、さまざまな批判や中傷をまともに受けとめてしまったのかもしれません。ご冥福を心からお祈りします」
また、5月31日に同番組で放送された「加齢により怒りの感情がコントロールできなくなる理由」について語り合う回では、精神科医の和田秀樹氏がゲストに。和田氏がryuchellさんに抱いた印象も「思いやりのある人物」というものだった。和田氏は言う。

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「私が“年齢を重ねると前頭葉の機能が低下し理性が働きづらくなるために怒りのコントロールができなくなる”という旨を説明すると、ryuchellさんはそれまで自分が抱いていた年上世代への偏見を思い直すことができたと話しており、とても思いやりのある人だと感じた。
人の意見を聞けるだけに、自分への多種多様な意見もストレートに受けとめてしまう一面があったのかもしれない。何か思い詰めているようには見えなかったが、自死を選んでしまう人の中には最期まで努めて明るく振るまう人は少なくない。何を思い悩んでいたかはわからないが、残念の一言です」
「ホルモンの乱れは本当に怖い」
2016年4月から翌年6月までAbemaTVにて放送されたryuchellさん初の冠番組「りゅうちぇる×ちゃんねる」で関わったスタッフは当時を振り返った。
「制作陣も6人ほどの低予算でしたが、ryuchellさんは初の冠番組に本人もとても気合が入っていました。ryuchellさんはいい意味で芸能人ぽくなく、現場にはいつも一人で来ていました。普段から周りに感謝し、スタッフみんなへの挨拶やフランクに雑談もしてくれるような方でした。それに、街ロケで一般人に悩みを聞くという場面でも、真摯に話を聞くだけじゃなく、カメラが回っていないところでも一般人とコミュニケーションを取るような誠意さがありました。歩き途中に話しかけられても対応していたし、話を聞いた一般人からの写真撮影にも応じてたくらいです。裏表のない方でみんなから愛されていました」
今年4月にアジア最大級のLGBTQのイベント「東京レインボープライド2023」でヘッドライナーとして出演したタレントの美川憲一氏もその死を悼んだ。
「楽屋にryuchellさんが挨拶に来てくれたの。 “あなた、自分磨きして美しくなっていいじゃない”と言ったのだけど、以前にテレビで見かけた時よりも痩せた気がしたから“大丈夫なの、頑張んなさいよ”と声かけたのよ。そしたら“ありがとうございます”って人なつこく笑ってたわ。なんだか元気がないように見えたから心配してたのよ。そうしたらこんなことになってしまって」

(C)TRP2023
美川氏はryuchellさんの今回の一部で報じられた“ホルモンバランスの悪さ”を思い悩んでいた点についても触れた。
「私も夜の商売人の知人から、男性が女性ホルモンの注射を打ち“鬱っぽくなってしまった”という数々の悩みを聞いたわ。ホルモンの乱れは本当に怖い。私も5年前に疲れやすくなって珍しくネガティブになったの。なんだろうと血液を調べたら男性ホルモンが通常数値の3分の1しかないって言われて。そこで男性ホルモン補充の治療を始め、今も半年に1回は打ちにいってるわ。ryuchellさんは女性になりたい、美しくありたいという願望の反面、男性として父親としての責任もあって、子供に申し訳ない気持ちもあって思いつめてしまったのかしら」
一方でryuchellさんが受けていたとされるSNSの誹謗中傷については、強くこう発言した。
「私もかつては世間から総バッシングを受けて、それはもう崩れそうになったときもありました。でもね、自分自身をそのどん底から立ち直らせるのは他の誰でもなく自分しかいないの。とにかく人間、大事なのは開き直りと強さ。ryuchellさんに自分の生き方を全うしてほしかったわ。それに誹謗中傷する皆さんには、一度、人を傷つける言葉を吐き出すのは簡単だけど、それを受けた人がどう思うかを考えてほしいわね」
美川氏は最後に「人は誰もが強くもあるけど脆いのよ。誹謗するより励まし合って生きましょうよ」と付け加えた。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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