水着撮影会の中止を要請されたイベントのなかには開催2日前に迫っていたイベントもあり、その損質は約1000万円にもなるという。中止要請の前日には、日本共産党埼玉県議会議員団が当該イベントに対して“性の商品化”にあたることを指摘していた。
だが、中止要請の3日後、今度は埼玉県知事が過去に規約を違反したことのある一部の団体を除き、中止要請を撤回。混乱を極める“グラドル騒動”の現場の声を聞いた。
イベント開催の2日前に中止要請を受け、およそ1000万円近くの損失を負ったのは、グラビアアイドルの撮影会イベントとしては最大規模を誇る「フレッシュ撮影会」を主催する株式会社エーテルの植田章太郎氏だ。
フレッシュ撮影会は業界的には老舗イベントだが、6月10日に川越水上公園で開催予定だったスペシャル撮影会は、今回の件で中止を余儀なくされた。
「ルールは守っていたのに…」埼玉・水着撮影会中止要請による1000万円以上の近い損失で頭を抱える主催者。要請撤回で「9月のフレッシュ撮影会は開催します!」
埼玉県営公園のプールでの「水着撮影会」を巡る騒動。発端は今年6月8日、公園を管理する公園緑地協会が埼玉県のふたつの県営プールで開催予定だった6つの水着撮影会の中止を要請したことだった。
「電話口の公園担当者の声は申し訳なさそうだった」

今年5月に開催された「フレッシュフェス2023」のポスター
植田氏は公園担当者からの中止要請を受けたときのことをこう振り返る。
「川越水上公園は2017年から50回以上イベントを開催してきて、長くお付き合いをさせていただいてました。公園の担当者からはとても申し訳なさそうな声で『本当に突然の連絡で申し訳ないが、中止にしてほしい』と言われました。開催日も2日前と差し迫っており、仕方がなく受け入れました」
もともと埼玉県内の川越水上公園、しらこばと水上公園、加須はなさき水上公園では、グラドルたちによる水着撮影会が頻繁に行われてきた。
しかし、日本共産党埼玉県議会議員団は、こうした水着での撮影会について「『性の商品化』を目的とした興業」であり、都市公園法第1条の規定に反するとして会場の貸し出し中止などを求めたと、ホームページやTwitter上で発表した。
徹底的にルールを守っていた団体にも無慈悲な中止要請
しかし「フレッシュ撮影会」主催の植田氏は、はっきりとした口調でいう。
「我々はこれまで埼玉県内の川越水上公園だけでなく、しらこばと水上公園、加須はなさき水上公園などでも撮影会を開催してきましたが、各会場におけるルールは遵守してきました。それぞれの公園で規定や告知の方法は違いましたが、それぞれの公園で利用規定について提示を受け、それを守ってきました」
グラビアアイドルは基本的に水着持参だが、会場の更衣室から屋外に出る際に着用の水着をチェックし、“規定外の水着”を着ているグラドルがいれば主催者側で用意している水着に着替えてもらっていたという。

水着撮影会の様子
「なかには、サービス精神から規定ギリギリの“攻めた水着”を着たがるタレントもいます。その気持ちはわかりますが、我々は規定を守らなければいけません。
撮影時もスタッフが常時会場を巡回し、グラドルが過度に足を広げるなど規定に触れるポーズをとっていれば、『そのポーズはいけません』と注意をしていました。参加者のカメラマンの方々からも“『フレッシュ撮影会』はルールが厳しい”といわれるほどでした」
もともと公園側からも「御社はルールを守ってくれていて問題なかった」と明言されていたという。県営プールは、指定管理者である埼玉県公園緑地協会が管理運営しているため、撮影会の開催許可も同協会が行っていた。
知事は特定の政治団体に左右されていないと強調
そのなかでの中止要請は植田氏としては納得できないことかもしれないが、イベント開催予定日翌日の6月11日、大野元裕埼玉県知事がTwitter上で、以下のようなコメントを投稿。水着撮影会の全面中止に関する撤回を表明した。
「条件策定後に違反が認められない者に対し中止させることは適切ではない旨伝えるとともに、しらこばと公園の1者と川越水上公園の3者の中止要請を撤回すべき旨を指導しました。なお、6月に開催予定のなかった加須はなさき公園を含めた県営3プールのルールや今後の水着撮影会の開催の在り方等については意見も募りながら、専門家を交えた検討を協会に依頼しました。多くの方からもこの件について意見等を頂いておりますが、埼玉県、公園緑地協会として特定の政治団体等の意見に左右された事実はございません」
県営プールでの水着撮影会について経緯と状況についてご報告します。しらこばと公園では昨年12月に詳細な許可条件を定めました。その後、本年6月8日、公園緑地協会から埼玉県に、同公園での6月の開催の撮影会利用予定の事業者が昨年12月の基準策定後に開催したイベントで違反があったことから
— 大野もとひろ 埼玉県知事 (@oonomotohiro) June 11, 2023
翌12日に県が外郭団体に“違反をしていない”一部の主催者への中止要請を撤回するように正式に指導。植田氏のもとには13日に公園担当者から連絡があったという。
「そのときも申し訳なさそうに、『先日は中止要請をしたが、今後は開催可能になりました』との連絡がきました。
水着撮影会はもともと、プールの営業期間の7、8月を避けて、6月と9月に行われるもので、今回の中止要請で9月開催も無理かもしれない……と頭を抱えていましたが、開催決定となりました」
しかし、6月10日に開催予定だった撮影会の損失は大きい。植田氏は言う。
「チケットは前日に駆け込みで購入する方が多いとはいえ、すでに多くの方にご購入いただいていましたが、返金は済んでいます」
管理していた公園緑地協会への損害賠償請求は?
出演費や参加費の返金だけではなく、当日稼働予定だったスタッフやキッチンカーの補償などの問題も山積みだろう。植田氏はそれらについて「今まさに検討中」だとしている。また、突然の中止要請を出した公園緑地協会への損害請求などの予定についても聞いたが「ノーコメントでお願いします」とのことだった。

写真はイメージです(shutterstockより)
また、中止要請が撤回されたものの、再開の発表をしない団体もあるのだという。撮影会参加歴3年のグラドル好き会社員のAさん(53歳)は言う。
「6月18日に川越水上公園で撮影会を開催予定だったある団体は、要請撤回後もいまだに中止のアナウンスのままです。一度バラした現場を再開する気になれなかったのでしょうか。私自身もこの撮影会を楽しみにしていたので、残念でなりません」
この騒動を受けて、6月18日にはギャルタレント、あおちゃんぺの召集によってグラドルやセクシー女優らが抗議パレードを行う予定だといい、当分の間、騒動の火は消えそうにない。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班
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