「この『トマレ』と表示されたスマホは、次回作に出てくる“時間停止グッズ”です。これをポチッと押しながら『ストップ!』と叫ぶと、時が止まるんですよ」
そう冗談交じりに語るこの男、ささきうずまき氏こそ、多くの男性が一度は見たことがあるであろう“時間停止AV”の生みの親だ。
ささき氏は2003年に監督デビュー。世の男たちの妄想を形にするバラエティ(企画モノ)を得意とし、その代表作が「時間よ止まれ!」シリーズだ。

〈6月10日は時の記念日〉男性ファン多数の人気映像作品「時間よ止まれ」シリーズが生まれた日…「ドライアイの女優がいると大変」「出演者全員とディープに絡むと予算が…」生みの親の監督が語る制作秘話
時間を止める時計で女性を動けなくして好き放題する――。そんな男のロマンを具現化した“時間停止AV”を日本で初めて作ったのが、AV監督・ささきうずまき氏(45)だ。西暦671年の6月10日は日本で初めて時計が人々に時を知らせた日とされる。それにちなんで制定された本日「時の記念日」に、エロで“時を止めた男”に制作裏話を語ってもらった。
2005年のシリーズ初作品で最優秀新人監督賞を受賞

新作で使用される“時間停止グッズ”
主人公が「時間を止める」「部分解除」「時間巻き戻し」「録画」といったスケベな機能が搭載された”魔法の時計”を使って時間を操り、女性にイタズラしていく――。
2005年、そんな斬新な設定である『時間よ止まれ! パート1』がリリースされると、世の男性たちに大ウケ。その年の「SOD大賞」で最優秀新人監督賞を受賞した。
その後、派生作品が多数生まれて一大ジャンルとなった“時間停止シリーズ”。そんな“世紀の大発明”が生まれたきっかけは先輩の一言だったという。
「ある日オフィスで、先輩監督に『もしも時間が止まったら、ドラえもんの世界みたいで楽しそうだよなぁ……』と言われまして。
そのときは『たしかに面白そうだけど、どうやって撮るつもりだろう?』と適当に聞き流していたんですけど、翌週の企画会議で、その先輩から『ささき君はバラエティ系の作品をよく撮ってるし、これ(時間停止)もできるでしょ』と企画を丸投げされました……(笑)。
当時は“時間停止”の作品なんてなかったし、どんなストーリーにすればいいのかまったくわからない。とはいえ新人の身では断れないのでしぶしぶ引き受けたんです」
ドライアイの女優がいると大変…
デビュー当初から、ささき氏は「もしもこんな○○があったら…」シリーズなど、ついつい男性が妄想しがちなシチュエーションをテーマにした作品をつくり続けてきた。
しかし、初めての「時間よ止まれ!」の撮影現場では、これまで体験したことのない苦労の連続だった。
「“時間が止まった世界”という設定だから女優さんがまばたきやくしゃみをするたびにカットしなきゃいけない。ノーカットで撮れるのはせいぜい2~3分。ドライアイの女優さんだと20秒も撮れないんです」
そんな調子だから20~30分ほどの1チャプターを撮影するのに7~8時間はかかり、撮影は朝から深夜まで続いた。
ささき氏は「たしかに女優さんの目線を切ったり、バックショット(背面の映像)を多くすれば、撮影はもっとスムーズに進んだかも」と当時を振り返る。
しかし、一切の妥協を許さなかったのは、アシスタント時代の経験が大きいという。

インタビューに応じるささきうずまき氏
「先輩たちの撮影現場を見ていると、ひとつの作品に対しての情熱がすごいんです。例えばスカトロ系作品を撮るときも、浣腸や下剤で無理やり出したものではなく、“自然便”じゃないとOKを出さない。だから限界まで我慢してからひねり出すんです。
当時は『そんなにガチでやらなくても……』と驚きましたが、僕自身が新人監督時代に撮った作品も、少しでも手を抜いた作品の売り上げはイマイチだった。『作り手の情熱はユーザーに伝わる』ことを知ったので、時間停止AVも妥協せずに真っ向から勝負しました」
その気持ちがユーザーに伝わったのか『時間よ止まれ! パート1』は大ヒット。その後もコンビニや銀行、電車などさまざまなシチュエーションで同シリーズを撮り続けることになったのだ。
監督は“時を止める時計”が手に入ったらどうする?
そんな“時を止めた男”は、そもそもなぜ監督業を志したのか。
「通っていた京都の大学を無内定で卒業して、実家の近所で時代劇の撮影アシスタントのアルバイトをしていたんですけど、ある日、本屋に立ち寄ったらカンパニー松尾さんの『職業・AV監督』という漫画を見つけたんです。
カンパニー松尾さんは業界に“ハメ撮り”というジャンルを確立させた人で、その内容がすごく面白くて。それまでAVをそれほど見てきたわけではないけど、『なんだかアダルト業界って楽しそうだな』と思って雑誌の裏側に載っていた求人に履歴書を送ったら、奇跡的に採用されました」
そこから1年半のアシスタント期間を経て、AV監督としてデビュー。「時間よ止まれ!」シリーズを皮切りに、「僕は透明人間!」といった、個性的なシリーズ作品を次々とリリース。
「普段からほとんどアダルト作品を見ないし、興味があるわけでもない。この業界に入ったのも『なんとなく楽しそうだったから』。だからこそ逆に、型にとらわれない作品をつくれているのかなと思ってます」
アイディアの源泉をそう説明するささき氏に「時間よ止まれ!」シリーズの裏話を聞いてみた。

今後、どんな男の妄想を具現化してくれるのか
「そうですね……。オフィスやコンビニで時間を止めると、よく女性が一列に並ぶようにして静止してるじゃないですか。
あれはそうしたほうが見栄えがいいかなと思って僕が1作目からやり始めたんですけど、その女性たちにひとりずつ主人公が絡んでいくのがお決まりの流れ。
ただ女性によって胸を舐めたり、下半身をこすりつけたり、絡んだり……プレイ内容に差があるのをご存じですか?
あれはなぜかというと、女優さんってプレイ内容によってギャラが変わるんですが、制作には当然予算があって、全員とディープな絡みをすると予算をオーバーしてしまう。
『この子ともっとしっかり絡んでくれよ』と思われたとしても、ギャラが決まってるから無理なんです(苦笑)。そんな大人の事情のなかでの撮影なんで、なかなか大変ですよ」
ちなみに、もし本当に時間を止められる時計があったら、ささき氏もやっぱり……?
「僕は……どうだろう。こう見えても心配性なので、ビビッて使えないと思います。だって冷静に考えてみると、いつ女性が動きだすかわからないじゃないですか(笑)」
ささき氏に限らず、そう考えて時を止めるのを躊躇する男性は、現実では少なくないだろう。
一方で、作品に出てくる主人公は、タガが外れたように時を止めまくる。男性諸君はそこにロマンを感じるのかもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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