女は同市に隣接する同県函南町生まれの住所不定、無職、浅沼かんな容疑者(24)で、遺棄された女児の母親とみられる。男は住所不定、無職、高見直輝容疑者(20)。
事件は5月27日早朝、一部炭化している乳児の遺体を見つけた釣り人の通報で発覚した。発見時には現場から煙が上がり、まだ火がくすぶっている状態だったという。
【乳児遺体を焼いて遺棄の疑い】逮捕された女(24)はホス狂、パパ活、虚言癖…「私は太客」「昔からワルでドンキで万引きしまくってた」「実家は大会社経営」と言うも父親は直撃に…〈沼津〉
静岡県沼津市千本浜の海岸で生後間もない女児の焼かれた遺体が見つかった事件で、県警沼津署は6月6日までに、死体損壊と死体遺棄の疑いで20代の男女2人を逮捕したと発表した。「現場付近でたき火をしている男女を見た」という目撃情報をもとに同署が防犯カメラなどを分析、沼津市内の宿泊施設にいた2人を1日に発見、現場確認に立ち合わせたうえで同日、緊急逮捕した。
遺棄現場は合戦で命を落とした武者の「首塚」付近

遺体遺棄現場付近の海岸(撮影/集英社オンライン)
現場の千本浜は、戦国時代の合戦で命を落とした武者たちの「首塚」があることで知られる。1900(明治33)年、暴風雨の翌朝に松林の中で露出した頭蓋骨が見つかり、調査の結果、百体以上に及ぶ人骨が出土。そのほとんどが青年男子の頭蓋骨で、戦国時代の戦の結果の首実検後に葬られたとみられている。乳児の遺体を損壊、遺棄した容疑者の男女がそうした経緯を知っていたかどうかは不明だが、現場一体はそういう場所なのである。
浅沼容疑者については、「文春オンライン」が「300万以上のツケを抱える“ホスト狂”」と報じた。その内容によると、高校卒業後すぐに結婚して娘を出産して20歳ぐらいまでは夫と暮らしていたものの育児放棄の末に離婚、生活の拠点を大阪に移してからはホスト遊びにハマり、実家にまでホストの取り立てが行くようになったという。
借りた金は当然返せず、大阪にも居場所を失い、実家からも縁を切られた浅沼容疑者は、大阪時代の担当ホストだった高見容疑者と共に、地元に近い沼津のネットカフェに居つくようになった。沼津署が2人を発見した「宿泊施設」がそれだ。同店店長が語る。

浅沼容疑者と高見容疑者が宿泊していた漫画喫茶(撮影/集英社オンライン)
「2人がいた期間は半年以上とかなり長い期間になりますが、継続継続で支払ってもらっていました。長い期間見かけないこともなかったので、ずっとうちを利用してたんだと思います。ただその間、誰ひとりとして赤ちゃんを見たり泣き声を聞いたという従業員はいなかったので、不思議です。うちの店はコロナで2020年10月に一度潰れたけど、コロナが落ち着いてきてなんとか2021年の6月に再オープンしたのに、こんな事件に巻き込まれてしまって、閉店しないか心配です」
「ドンキで万引きしまくっていた」
「彼氏が途絶えたことはない」とワル自慢
欲望のおもむくまま、あてどない日々を過ごした男女。その原因となった浅沼容疑者の「ホスト狂い」とはどんなものだったのか。大阪時代にホスト繋がりで一時は友人関係にあったという20代の女性が、集英社オンラインの取材に怒りをにじませながら語った。知り合ったきっかけはSNSだったという。
「昨年の4月から7月ぐらいまで一緒にホストクラブに行ったり、かんなが『自宅』にしていた難波のウィークリーマンションに泊まりに行ったりしてました。SNSで知り合って居酒屋でサシ飲みしたときは『フレンドリーで明るい子だな』という印象しかありませんでした。ずっとニコニコと笑っていたし、『前からお店(ホストクラブ)で見ていて、仲良くなりたいと思っていたので嬉しいです~』と言ってました。でも、だんだんとお酒が入っていくうちに自慢話も多くなってきて、『私○○(過去の担当ホスト)のために100万使ったんだ~』とか『前に通っていた店では○○と○○の太客してて~』と、嬉しそうに“ホス狂アピール”するようになりました。高見直輝容疑者は彼女の担当で、ノロケていましたが、あまりいい噂は聞こえてきませんでした」

浅沼容疑者(知人提供)
「かんな」のアピールにはそのうち「ワル自慢」も混じるようになった。
「高校時代にかなりヤンチャしていて、沼津のヤンキーグループに所属して『保険証を偽装して居酒屋に飲みに行ってた』とか、『ドンキで万引きしまくっていた』とか、犯罪自慢が多かった。ドンキではiPhoneフィルムやケースの他にも、化粧品や靴も盗んでいたらしく『靴なんて店内で履いちゃえば絶対にバレないよ~』と言われたときは思わず引いちゃいましたね。あと、『高校時代は彼氏が途絶えたことはない』とか『ヤンキーの先輩とばかり付き合ってた』とかモテ自慢も多かったですね。実家についても、『両親は静岡で大きな会社を経営している』とよく話していました」
自分を「盛る」ことに腐心していた「かんな」は、何で生計を立てていたのだろうか。

沼津警察署(撮影/集英社オンライン)
「私と出会ったころは『今は脱毛サロンで店長やってるよ~』と言ってましたが、その前は一時期、梅田のホテヘルで働いていたそうです。でも、彼女を知っているホストがその脱毛サロンに確認しにいくと、どうやら3カ月だけバイトしてただけで、店長というのは嘘でした。
あと、彼女は沼津にいたころからパパ活をしていたと言っていたし、『今日泊まりに行ってもいい?』と聞いても『ごめん今日はパパが来るからダメ』と返信が来ることも多かった。当時、彼女はパパ活の定期のお客さんがいたんですけど、その人に家の鍵を借りているから、『こっそり忍び込んで金目のモノを売払おう。そのお金で一緒に東京に行こうよ!』と誘われたことがあって、『本当にヤバイ女だな』とドン引きしたこともありました」
「ウチの子かわいいでしょ~?」「私と似てない?」
とスマホを見せてきた
高校卒業後の結婚生活や離婚に至るきっかけ、もう1人の娘についてどう語っていたのだろうか。
「はい。過去に一度離婚していて、子供がいることも聞きました。本人が言うには、『沼津の元旦那の実家で結婚生活を送っていたけど、姑にイジめられて、元旦那も守ってくれないし、浮気やDVもされたから逃げてきた』ということでした。子供は元旦那が育てているわけではなく、児童相談所に引き取られて、今は里親に育てられているみたいです。
浅沼さんはたびたび子供の話をしてきて、『ウチの子かわいいでしょ~?』『私と似てない?』と嬉しそうにスマホに写った子供の写真を見せてきました。今でも年に1回だけ子供に会えるみたいで『そのときは自分が親だと名乗っちゃいけないんだよね~』と嘆いていたけど、大阪でホストクラブに行くヒマあるんだったら、ちゃんと働いて自分で育てればいいのに」

浅沼かんな容疑者(知人提供)
実家との関係についても、「かんな」は愚痴っていた。
「函南の実家に年の離れた弟が住んでいるというのはよく聞いていて、『今度弟の誕生日だから現金送らないとな~』と言ってたので、弟のことはかなり可愛がっていたと思います。でも反対に、お父さんはだいぶ苦手だったようです。小さい頃に両親が離婚していて家庭環境は複雑で、『私だけ理不尽なことで怒られてきた』とか『とにかく実家は居心地が悪かった』とか愚痴っていたので、少し同情はしていました」
同情を寄せたこともある「かんな」と決裂したわけはなんだったのか。女性が続ける。
「自慢やウソが多かったのも一つですけど、やっぱり一番許せなかったのは、お金を盗まれたことです。彼女のウチに泊まりに行く度に、朝起きると、財布の中から数千円~数万円なくなっていたんです。最初の1回目や2回目は、『ホストクラブで酔って、帰り道にいろいろお金使っちゃったのかな』とか思っていたんですけど、それがずっと続くので、『あれ? おかしいな?』と思い始めて…。

沼津駅(撮影/集英社オンライン)
まぁ、こんなこと本人に問い詰めても仕方がないし、泣き寝入りするしかなかったんです。ちょうどその頃、ホストの外販(客引き)経由で知り合った人たちからも浅沼さんの悪いウワサを聞くことが多くなりました。『店での飲み方が汚い』とか『借りた金は絶対に返さない』とか『売掛けで何回も飛んでいる』といった悪行の数々が耳に入ってきたんです。それと同じ時期に彼女ともちょっとした喧嘩になったので、そのまま距離を置いていたんです。そうしたら、どうやら周りの人たちに私のことを『あいつはいろんな男をとっかえひっかえしているヤリ⚪︎ン』とか『新興宗教にハマっている』とか、ありもしないウワサを流していたことがわかったんです。それで完全に縁を切りました」
アパートで父親を直撃すると…
「首塚」の近くに遺棄された乳児の遺体は身長約50センチの女児で、同署は浅沼容疑者が母親とみてDNA鑑定を進めている。
全てにおいて計画性がないといえる浅沼容疑者は、どんな子供時代を過ごしたのだろうか。
小中学校時代に同級生だった男性はこう証言する。
「ずっと地味で目立たない子で、同じように地味な子たちと過ごしていた印象です。当時は不良とかギャルとか全くそんな感じはなかったですから。吹奏楽部に所属していてバスクラリネットを吹いていた。大人しくて静かでまさに文化部系って感じでした。その時は彼氏がいたこともなかったと思います。
ちょっとぽっちゃりしてて、お世辞にも可愛いとは言えないから、男子たちの恋愛の話題にも名前が上がったことはないですね。成績も良くない子だったんで、地元でも勉強ができない人たちが進学する高校の定時制に行きました。そこはヤンチャな人もいそうなんで、そこからおかしくなってったんじゃないですかね」

おとなしかったという中学校時代の浅沼容疑者(知人提供)
「地元」で「かんな」を知る人たちは、異口同音にこの男性と同じ印象をもらした。目立たず、おとなしい、吹奏楽好きの少女は、やがてホスト狂いの毒母になった。
「かんな」の実家は函南町内にある家賃4万円代の2DKのアパートだ。近隣住民は「ヤンキーとかでもなくおとなしい家庭」だと語る。
6月5日、「かんな」の父親を直撃したが、返ってきたのは「すみません、今はなにもお話できることはありませんので……」という言葉だけだった。

浅沼容疑者の実家(撮影/集英社オンライン)
※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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