「いや、もういろいろな方に迷惑をかけてしまって申し訳ないという気持ちです。これ以上はもう話せません。申し訳ないです」
二郎系ラーメンとして知られるラーメンチェーン「夢を語れ 埼玉」の店主氏は集英社オンラインの直撃取材にそう答えた。
〈“クソ素人が来た”投稿で大炎上のラーメン店〉「屋号が剥奪になりました。ご迷惑かけたんで…」店主はペンキで看板の屋号を塗りつぶしながら猛省。揉めた利用客とは和解し、再スタート
発端は人気ラーメンチェーン「夢を語れ」グループの埼玉店店主がTwitterでお店に来たお客を“クソ素人”と罵倒したことだった。同店を訪れたお客が店名をイニシャルにした上で、麺やスープなどを「不味い」と酷評し、「もう二度と行かない」とツイートすると店主はその投稿に「もちろんもう二度と来ないでください」などと応戦。その結果、ネットで大炎上し、「夢を語れ」グループの本部に屋号を外させられる処分を受けた。埼玉店店主を取材し、その真意を尋ねた。
客との応戦で屋号を失った

店主を直撃(撮影/集英社オンライン)
「夢を語れ」グループと言えば、元お笑い芸人の西岡津世志氏が代表を務め、全国に17店舗以上展開している人気ラーメンチェーン。実はこの埼玉店の店主もかつてお笑い芸人やフードファイターとして活動していた。
問題の発言とは、利用客がTwitterで「不味い」「もう二度と行かない」などと酷評したツイートに店主が、
《コールの時に「にんにくなし」って言われた時点で、クソ素人が来たなと思ってたんですけど案の定だったので、そもそもこういう輩が入って来ない店を目指したいです》
《もちろんもう二度と来ないでください!お残しに募金を頂いてるのですが、不快だったので声もかけず、ありがとうございましたも意識的に省略しました》
などとリプライし、応戦したのだ。

店主が作ったラーメン(読者提供)
こうしてネットで大きな注目を集めると、店主に非難が殺到。その後、4月24日に《この度は私の不適切な発言により該当される方に限らず関心を寄せてくださるたくさんの方に不快な思いをさせたことをお詫び申し上げます》と謝罪のツイートをした。
だが、事態はそれだけでは収まらず、「夢を語れ」グループから4月26日の営業をもって屋号を外すよう言われ、「夢を語れ 埼玉」としての営業を終了させられたのだ。
「夢を語れ」グループの本部が語る。
当事者とは和解ずみだが…
「当グループ店主の不適切な発言により、不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ありませんでした。これはもうあってはならない対応だったと思っています。店主には来店してくださってるお客様に対する考え方が間違っていると指摘し、指導と厳重注意をしております。これまでもSNSでの発言をふくめ再三注意をしていたこともあり、『夢を語れ』の屋号は外させ、グループから除名といたしました。店主は深く反省しており、今後はSNSを使わないという約束をしております」
軽率にしたSNSの投稿はあまりに大きな代償となった。不幸中の幸いではないが、「クソ素人」呼ばわりした利用客とはその後、連絡がつき和解できたという。

ペンキをいじる店主(撮影/集英社オンライン)
「店主の不適切発言でご迷惑をかけたお客様のSNSはDMが開放されてなくて連絡がとれなかったのですが、報道を見て本部の方に連絡をしてくださいました。それで謝罪をさせていただいたのですが、お客様の方から逆に『屋号を外させ、除名というのは重すぎる』というお言葉をいただきました。
最後は『自分もあんな書き込みしなければよかった』とまでおっしゃってくださいました。それでも今回のことはグループ全体として重く受け止め、当グループの全店主に接客態度をはじめ研修・指導を徹底いたします」(夢を語れグループ本部)
記者が取材に訪れたこの日、店主はお店の看板である「夢を語れ」と白いペンキででかでかと書かれた屋号を赤いペンキで塗りつぶしている最中だった。冒頭の店主への取材に話を戻す。
騒動を受けて改心した?
――屋号が剥奪されてしまいましたね?
店主(以下、同) 名前を語るなということで屋号が剥奪になりました。みなさんにご迷惑かけたんで……。
――お店は辞められるのですか?
いえ、前の屋号を出したらダメですが、お店は営業します。とにかく屋号を出せないので、隠さないといけないということでこうして塗っているんです。
――新しい屋号はもう決めたのですか?
まだ決まってません。
――今改めて一連の騒動をどう思ってますか?
ネットでここまでのことになるとは思ってもみませんでした。ただ、みなさんにご迷惑をおかけしたんで……もう作業もありますし、お話もできないんで…。
そう話すと店主はまた黙々とペンキを塗り始めた。作業を終えると屋号のあった部分をしばらく眺めてお店の中へ戻っていった。今回の騒動を一番重く受け止めているのは店主自身に他ならないだろう。

ペンキを塗る店主(撮影・集英社オンライン)
騒動以降にお店に行ったという近隣住民が語る。
「騒動以降、いろいろ変化がありましたね。屋号が塗りつぶされただけではなく、以前は店のドアに貼ってあった『来店を歓迎しない人』という貼り紙も剥がされていました」
かつてはあった“来店を歓迎しない人”の貼り紙には『Googleに1つ星の評価をしがちな人』『テロリスト』『あらかじめ入店をお断りしていますが、入店したとしてもあとから店主が自身のツイッターでディスってくタイプです』などと書かれていたという。
近隣住民が続ける。
「以前は券売機に1万円や5000円が入れられないので両替を頼むと『近くにコンビニがあるんだからコンビニに行けよ』なんて言うくらい接客態度が悪かったのですが、あの騒動後に食べに行ったら心を入れ替えたみたいに接客態度がすごくよくなっていました。
本人なりに反省したのだと思います。店から出る時も『ありがとうございました。またよろしくお願いします』と珍しく声をかけてきました」
現在はまだ屋号は掲げられていないが、今度は誰からも愛されるラーメン店となってほしいものだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班