ホストクラブが風俗店のスカウトマンを抱えているケースも

ホストクラブ用語としてよく耳にする「売掛」とは、ホストクラブでかかった飲食代や、入れたボトル代などをツケ(後払い)にすること、またはその代金のことを指す。締日までに客がツケを支払えなければ、担当のホストが店に立て替えなくてはいけないため、ホストも売掛の回収には血眼になる。

ヤクザや闇金などの映画では、もし客がツケを払える目途が立たなければ、その代金を稼がせるために“客をソープに沈める”なんて物騒な表現を使うこともある。しかし、いちホストクラブの従業員が本当に女性客を性風俗店で働かせるケースがあるのか。ホストクラブ専門誌に10年以上携わるライターの内村あきこ氏が解説する。

「売掛を払うために女性客が自ら風俗店を探して働くケースはよくありますし、女性客からホストに『稼げる仕事はないか』と聞き、働き口を紹介してもらうパターンもあります。担当ホストに限らず、店経由での紹介ルートもあり、なんならホストクラブが風俗店のスカウトマンを抱えていることもあると聞きます。
スカウトマンからホストに、またはホストからスカウトマンに転身する人は多いので、ホストクラブと風俗店はかなり密接した関係にあるのは確かでしょう」

「2人で夢を叶えよう」ホストの甘い言葉に乗って借金地獄に陥る若い女性が増加中…客もホストも苦しめる“売掛”の問題点とは。“1000万プレイヤー”でも収入はその10分の1のケースも…_1
都内の某ホストクラブ
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今回、明るみになった事件以外にも、ホストと女性客の間での売掛は、様々な問題を孕んでいる。グラディアトル法律事務所の若林翔弁護士によれば、その相談件数は年々増えているそうだ。

「売掛金の相談は以前からありましたが、ホストクラブに行く人が増えたため、売掛金のトラブルも増加している印象です。女性側とホスト側、両者から1日に数件の問い合わせがあります。ホスト側の主張は『女性が売掛を払ってくれない』『お店との売掛トラブル』といったものが中心。
一方で、女性側からは『売掛を払えずにいたら暴力的な言葉で脅してくる』『売掛が払えないから交渉してほしい』『知らない間に売掛が増えていた』といった内容です」