〈札幌ナタ男〉「俺は酒の悪魔だ」と暴れた男は３月に交番を襲撃し逮捕されていた！ 過去の“いじめ”被害を動画で続々暴露し「誠意を見せて」と金銭要求。動画をみた同級生たちの反応は…

男は札幌市白石区の無職、石川莉世容疑者（26）。「石川りぜ」の名前でYouTubeに動画共有チャンネルを開設しており、犯行当日に冒頭のショート動画を上げていたほか、小学校時代に端を発する自分のいじめ被害の報告動画3本と、岸田首相を「心配」する動画もアップしていた。いずれもここ1カ月以内のものだ。

このうち最も新しいのが4月15日に投稿した『岸田総理が爆発した件について解説します』というタイトルの動画で、中身は「よいニュースではないんですけど、無事でよかったなあと思って、犯人も24歳の男性ということで僕と結構年の近い方なんで動機とかも気になるんですけどね」と他愛がない。

一方のいじめ被害報告動画では、高校時代に同級生だったという現役Jリーガーの実名を出し、飲酒に依存するようになったことを綴るなど、犯行の動機につながるような内容だ。

3月26日に投稿した動画では高校時代にいじめられていたことを動画のタイトルにしており、その内容は以下の通りだ。

「いじめの内容は主にパシリ、暴言を浴びせられる、無茶振りを無理矢理させられるなどですね」

「毎日のようにキモいだの、今日もブサイクだな、本当マジで気分悪いわって言われたり、本当生きてる価値ないって毎日のように言われて」

「学校行く前にドア開けるのが怖くて、やばい今日もすごい辛い目にあうって思いながら、死にてぇ死にてぇって思いながら。まじでね、自殺しようかなみたいな。親に相談すると、親に余計な心配かけちゃうし、先生に言ったら、お前チクったべ、みたいなもっと嫌な目にあうんじゃないかなって、先生に言う勇気もないし」

「女子生徒に対してセクハラ発言を言わされてビンタされる流れができてた」

「10年経った今でもちょっとフラッシュバックして、もうなんか辛くて、何も手につかなくなる状態みたいになっちゃって、それで今、僕うつ病にかかっちゃって、働けなくなっちゃったんですよね。それまでは高校出て専門学校行って、介護士やってたんですけど、その仕事中もいじめられてたこととか、過去の嫌なこと全部フラッシュバックしちゃって、もう仕事手につかないなってなって、病院行ったらうつ病ですって言われて、これが2年前くらいかな」

「先月までフリーターしてたんですけど、そのフリーターすらも手につかなくなるぐらいすごい落ち込むようになって、酒も止まんなくなっちゃって、もう働けない無収入の状態になっちゃって、本当にお金困ってるんですよね」

「◯◯君（※編集部伏字）もこの動画を見て罪悪感が1ミリでもわいたら、誠意を僕に見せて欲しいんですよね」

「10年前のこと蒸し返して、訴訟起こすとか、精神的苦痛ですとか、うつ病での損害賠償請求するとか、そういうのはしたくないんですよね」

「本当にお金困ってるんで、100万とは言わないんですけど50万でいい（略）何卒、◯◯◯◯くん、50万円頼みます」

と動画の概要欄に銀行口座を記載し、「誠意を確認次第、動画を非公開にします」としていた。

次は3月30日投稿の『【思い出話】中学時代、陰キャチー牛の僕は剣道部のキャプテンをやってました』。
中身はこんな具合だ。

「キャプテンだったけど口下手で喋れんくていじめられっ子だったから、すごい根暗でした」

「俺はすごい芸術家目指しててなんか、25歳までには小説家になって芥川賞取ろうと思って生きてて、ずっと本読んでたんですよ、教室で。小説ばっか読んでる根暗で」

「部活あんま馴染めてなかったんですよ、キャプテンのくせに」
などなど、中3で転校したことも語っている。

同日にはもう一本『【少年犯罪】小学校五年生の時、友達のM君に「川を渡れ」と命令され溺れ死にかけた挙句、翌年にM君から暴行傷害を受けましたがM君の両親からの謝罪はありませんでした【いじめ】』という動画をあげている。

動画でJリーガーを「告発」する2週間前も、未明から酩酊していたのだろうか。石川容疑者は複数の交番で狼藉を働く。まずは3月11日午前1時20分ごろ、自宅近くの札幌白石署東橋交番の出入り口に石を投げつけてガラス戸を割り、40分後には同署白石中央交番の風除室のガラス戸にコンクリートブロックを投げつけた。

さらに札幌随一の繁華街すすきのに出向いた石川容疑者は同日午後3時45分ごろ、札幌中央署薄野交番出入り口のガラス戸にガラス製灰皿を投げつけて割り、物音に気づいた派出所員に器物損壊容疑で現行犯逮捕された。犯行後しばらく経ってから事件を認知した札幌白石署は、14日に同容疑で石川容疑者を再逮捕した。

石川容疑者は小学生時代は岩手県に住んでいたとみられ、2005年11月12日の読売新聞の［おしえて］欄にはこんな活字が踊っていた。

＜「湧き水のしくみについて教えてください」　◇岩手（いわて）県滝沢（たきざわ）村、石川莉世（いしかわりぜ）君　小３＞

自らの動画でも触れていたように、石川容疑者は中３のころに札幌市白石区の母親の実家に転居してきたようだ。自宅の近隣住民はこう語った。

「10年以上前にお母さんが旦那さんを連れて一緒に実家に戻ってきたのですが、容疑者と同じ年恰好の息子さんがいたのを覚えています。
ただ息子さんは普段全然見かけないので、もう成人して出ていったのかと思っていました。自宅にはお母さんのご両親も同居していて、彼のお祖母さんが亡くなった際の枕経にも姿はありませんでした。
近所で何かトラブルを起こしたとかは聞いたことありませんよ。息子さんは高校生ぐらいの時に通りがかるのを何度か見かけたぐらいで、不良とかには見えませんでしたね。最後に姿を見たのも3、4年前くらいで、何をしてるかも全くわかりませんでした」

長く引きこもっていたのだろう、高校の同級生たちのなかで“いじめ”の告白には首を捻る者もいた

「YouTubeを見ましたが、顔は高校当時とほとんど変わってなくて、今より短髪でしたね。高校時代の石川君はYouTubeみたいに饒舌に喋る感じではなかったですし、どちらかと言うと言い方は悪いけど確かに隠キャでした。勉強ができたり運動ができたりで目立つわけでもありませんでした。暗い子達のグループにいて、人とコミュニケーションを取るのが苦手なんだろうなって感じでした。少なくとも高校時代にキレて暴れ回ったところは見たことありません。

それにイジメに遭っていたかどうかは知りませんが、石川君が名前をあげてるJリーガーの◯◯君は石川君とは対極にいる陽キャの人気者という感じです。動画ではパシリをさせられたという話をしてましたが、2人は3年のときはクラスも別ですし、2人が話してるのを見たことがない。同窓会でも◯◯君の話題はいっぱい出るのですが、石川君は来てもいなかったですし、話題にあがる感じでもありませんでした」

「暗い感じの子ではありました。成績も良いわけではなかったですし、目立つ話は聞いたことがないですね。陽キャの野球部とか運動部系の人達にからかわれて笑われたりしてたのは廊下とかで見た気がしますけど、そこに◯◯くんがいたかどうかまでは覚えてないです。パシリとか暴言を言われてたかまではわからないです。笑われてる時は確か苦笑いとかで誤魔化してるような表情をしてた気がします」（別のクラスの女子生徒）

いじめ被害が仮に事実であれば気の毒には違いないが、ラッシュ時間帯の地下鉄構内でナタを振り回す理由にはならないし、言い訳にも決してならない。被害がなかったことだけが不幸中の幸としか言いようのない事件だ。


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取材・文／集英社オンライン編集部ニュース班