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「市政報告会で熱心に質問していた」は本当か?

木村容疑者の自宅から犯行現場までは車を使えば概ね120キロメートルの距離で、バスや電車などを乗り継げば3時間はかかる。地縁血縁や土地勘があったかどうかは不明だ。しかも、超V I Pである首相の遊説日程をどう把握していたのかにも疑問が残る。この点で読売新聞が犯行当日の15日夜に報じた内容は示唆に富んでいた。そのまま引用する。

〈川西市の自民党関係者によると、木村容疑者は昨年9月24日、自民党系の当時の川西市議が開いた市政報告会に参加していた。報告会には有権者約70人が出席。終了後、木村容疑者は市議に「川西市議の報酬は、良いですか」などと議員活動について熱心に質問していたという。関係者は「20歳代の若者の参加は珍しく、政治に強い関心がある様子だった」と話した〉(4月15日配信・読売新聞オンライン)

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取り押さえられた際の木村容疑者(共同通信)
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この市政報告会で自民党関係者と接点を持ち、選挙ボランティアなどを通じて遊説日程を知りうる立場になったのだろうか。しかし、当時現職の市議だった市政報告会の主催者は、木村容疑者のことを全く覚えていなかった。

「昨年9月の市政報告会に木村容疑者が訪れていたのは事実です。来場者の記録に木村容疑者の名前と住所が書かれています。ですが、若い方も複数名参加していただいていましたし、私自身テレビで木村容疑者を見ても市政報告会に来ていた方かどうかもわかりませんでした」(取材を受けた元市議)

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木村容疑者の自宅(撮影・集英社オンライン)

また、元川西市議の関係者はこう証言した。

「元市議は、読売新聞の記者に『記憶が曖昧で木村容疑者がいたかどうかもわからない。若い方に話しかけられた気はするけど文言も覚えてない』と答えたのに、木村容疑者が熱心に質問したという記事になっていた。質疑応答の場は設けてなかったので元市議を見送る際に声をかけて質問したのだと思いますが、そういう方は他にもいますしね。
近所の公民館の集会所で開かれ、参加者は70名ほどで、若い方も数名いました。市政報告会開催のお知らせもポスティングで不特定多数に行っていたので、本人に声かけして動員していたわけでもなく、スタッフも含めて木村容疑者がいたことを覚えている人はいないはずです」