ニュース 2023.04.10

〈大阪・闇バイト逮捕！〉「全てを筋肉のために生きてます」と発信したマッチョ・パーソナルトレーナー（23）が出し子に…動機は「家賃が払えなかった」。経営が行き詰まっていたとの声も

4月7日、東京都町田市のパーソナルトレーナー・今井友貴容疑者（23）は、大阪府吹田市に住む80代女性の自宅を訪れ、キャッシュカード2枚と通帳1通を盗んだ疑いで逮捕された。7日午前、吹田市内では不審な「アポ電」が相次いでおり、警察官が特殊詐欺を警戒していたところスマートフォンを見ながら不審な動きをする今井容疑者を発見し、100万円をATMから引き出した直後確保した。横行する特殊詐欺。その波は屈強な肉体を持つ男をも飲み込んだ。

集英社オンライン編集部ニュース班

ATMで100万円を引き出した直後に御用

「40万円の家賃の支払いに困り、『闇バイト』の荷物を取りに行く仕事に応募した」

自称パーソナルトレーナーの今井友貴容疑者（23）はそう供述しているという。
7日に今井容疑者は別の人物らと共謀し、大阪府吹田市の80代女性宅に警察官をかたって電話をいれた。

「あなたのカードでお金が下ろされているのでカードを確認しにいく」と女性に告げ、午後1時頃、女性宅を訪れた。
玄関先で今井容疑者は「キャッシュカードの保管作業」と言い、女性に印鑑を取りに行くよう促すと、その隙に女性のカードが入った封筒とプラスチック版が入った封筒をすり替えた。捜査関係者が語る。

〈大阪・闇バイト逮捕！〉「全てを筋肉のために生きてます」と発信したマッチョ・パーソナルトレーナー（23）が出し子に…動機は「家賃が払えなかった」経営が行き詰っていたとの声も_1 — 今井友貴容疑者（本人Instagramより）

「特殊詐欺の前段階に入れる、いわゆる“アポ電”が市内で相次いでいたので、警察官も警戒をしていた。駅からスマートフォンを見ながらタクシーに乗った今井容疑者を不審に思い、行動確認していた。市内のATMで現金100万円を引き出したため事情を聴くと、女性からカードを盗んだと説明していて、今井容疑者を特殊詐欺グループの『出し子』とみて調べている。被害女性は2021年の12月にも同様の手口で被害にあっていて被害者名簿が流通している可能性があるので、今後も警戒が必要だ」

自称パーソナルトレーナーの今井容疑者は、これまで様々なボディビルやフィジークの大会に挑んできたようで、2019年に「NPCJビューティーアンザビースト」メンズフィジーク172㎝以下級で7位、2021年には「JBBF横浜オープン」クラシックフィジーク7位といった好成績をおさめている。
また、自身のSNSには「トレーニング・食事全てを筋肉のために生きてます」との書き込みも。

経営するジムには脱毛器も

2020年から都内の大手パーソナルジム2社に約3年ほど務め、トレーナーとして売り上げ上位者に名前を連ねたこともあるという。そして、独立して今年2月に自らが代表を務めるパーソナルジム「Tomorrow」を立ち上げた。
店舗は渋谷や町田に展開しており、その他にも物件を有している可能性がある。40万円の家賃とは、これらのいずれかのジムスペースの賃料のことのようだ。

渋谷店舗が入っているのは道玄坂にあるオフィスビル。渋谷駅から徒歩10分とかからない好立地で、赤いレンガ調の建物はまるで海外のアパートメントのような雰囲気だ。今井容疑者のジムを利用したことがあるという近隣住民が語る。

〈大阪・闇バイト逮捕！〉「全てを筋肉のために生きてます」と発信したマッチョ・パーソナルトレーナー（23）が出し子に…動機は「家賃が払えなかった」経営が行き詰っていたとの声も_2 — 渋谷にある「Tomorrow」（本人Instagramより）

「知り合いがトレーナーをやっていて、そのつながりでジムに一度行きました。ただ、僕がパーソナルで指導を受けたのは今回捕まっている今井容疑者ではなく別の人でした。“場所貸し”という形でフリーのトレーナーに場所を提供しているのだと思います。
その他にも何度か、ビルの前でお客さんとトレーナーが待ち合わせをして、一緒にジムが入っている5階に上がっていくのを見かけたことがありますが、今井容疑者の姿は見たことはありません」

今井容疑者のSNSによると、どうやらレンタルジムとして貸し出していて、1時間2000円か10回券1万8000円という金額で借りられるようだ。

「ダンベルやベンチプレスなど、普通のジムにあるものはひと通り揃っていましたし、脱毛器などもありました。設備にお金がかかってそうでしたね」（同）

経営の無理がたたって犯行に？

今井容疑者のSNSを見ると、専属パーソナルトレーナーや「Tomorrow」の店舗責任者の募集する書き込みもみられた。都内のパーソナルジム関係者が語る。

「パーソナルジムだと一度に多人数を相手にできないので、料金が高くなる傾向にある。今井容疑者はそこに嫌気がさした層をお客さんにしようと安価でやっていたのでしょう。
他のパーソナルジムだとだいたい1回1万円以上が多いところ、『Tomorrow』はホームページを確認すると45分6160円から。1万円を切る料金は相当安いかと思います」

また、近隣住民のコメントのとおり、同ジムではセルフ脱毛もサービスとして展開しているが、別の日の投稿ではこの脱毛事業のオーナーを募集するものもあった。ジムをはじめ、多角的な事業拡大を図っていたのだろうか。

いずれにしても、パーソナルジム「Tomorrow」は2月に新規オープンしてからまだ2か月しかたっていない。今井容疑者は犯行の動機について、「家賃に困り闇バイトに手を出した」という主旨の供述をしているというが、新規オープンして即家賃に行き詰まるようでは、経営にどこか無理があったとみられてもしかたがない。

専属パーソナルトレーナーや渋谷店舗責任者を募集する投稿（本人Instagramより）

「（Tomorrow）明日には、今日よりも明日をより清々しい気持ちで送れるよう自分のことが大好きになれる身体を作っていきましょうという意味を込めさせていただいてます」（原文ママ）とジムの名前の由来についてSNSに綴っていたが、まさかその明日に自らが事件を起こすことになろうとは。その言葉が虚しく響いている。

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取材・文／集英社オンライン編集部ニュース班