警視庁小松川署が準強制わいせつ容疑で逮捕したのは東京都江戸川区の無職、秋田憲隆容疑者(82)。昨年11月22日夜に自宅で知人の30代女性に睡眠導入剤入りの味噌汁を飲ませて眠らせたうえ、下半身を触るなどのわいせつな行為をした疑い。
〈江戸川・味噌汁わいせつ事件〉82歳男が味噌汁に睡眠薬を入れ、30代女性に準強制わいせつ容疑で逮捕。被害者は男の亡くなった“交際相手の娘”「誰にも迷惑をかけないよう『終活』の準備をしていたのに…」と近隣
74歳のハーレム男に続いて、今度は82歳の男性がわいせつ事件を起こして逮捕された。しかも長年交際していた女性の実の娘を相手に、味噌汁に睡眠薬を仕込むという「本格的」な犯行。近所では、足腰の悪い善人キャラで通っていただけに、尽きることのない性欲と業の深さがにじむ事件だ。
母親を亡くして寂しいのかと思った。
このとき初めてムラムラした

小松川警察署
秋田容疑者は被害女性の母親と長年交際しており、母親が昨年9月に亡くなってからは、その娘と週に1回お互いの家で食事や近況報告などをしていたという。
事件当日は女性の方から「もつ煮込みが食べたい」と連絡があり、午後8時ごろに秋田容疑者宅を訪問。食事中に秋田容疑者が「肩を揉んであげよう」などと近づき、意識もうろうとする女性のズボンを脱がせてわいせつ行為に及んだとみられる。
女性は同11時半ごろにようやく体が動かせるようになり、抱きつく秋田容疑者を振り払って脱出。友人に助けを求めて救急車で搬送された病院で検査したところ、女性の体内から「ゾルピデム」という睡眠導入剤の成分が検出された。
女性はこの事件の約2週間前にも秋田容疑者宅で食事をした際に意識を失い、気がついた時には朝になっていたことがあったといい、同署は余罪があるとみて調べている。
秋田容疑者は同署の調べに対し「自分が飲もうと思って処方された睡眠導入剤を入れた味噌汁を、間違えて女性に飲ませてしまった」などと供述するも「ズボンを脱がせて下半身を見たことは間違いないが、無理やりわいせつな行為はしていない」と容疑の一部については否認。
さらに「母親を亡くして寂しいのかと思った。今まで親子のような関係で恋愛感情も下心もなかったが、このとき初めてムラムラした。男女の関係になればなんでも話してくれるようになるかと思った」などと供述しているという。
こんな後期高齢者とは思えぬ脂っこい動機をペラペラと喋る秋田容疑者。犯行現場となった集合住宅の自室は、鉄製の玄関ドアに、水漏れ修理業者がポストインしたと思われる磁石付きの広告が、規則正しく上半面にびっしりと貼り付けられていた。

アコースティックギターの音がボロンボロンと聞こえてきた
この粘着気質すら感じさせる独特なセンスは、いったいどこで身に付けたのだろう。
近所に住む同年輩の女性はこう語った。
「15年以上前に引っ越して来た私に『困った時はお互い様だから声を掛け合おうね』と言ってくれた、温かくて人情味のある方でした。脳に持病があって2回入院したことがあるとのことで、その後も何度か手術を繰り返し、去年の春に手術した後は『もう自分の番だ、いつ死んでもおかしくない。お迎えを待つのみだ』と言うほど悪化していたようです。『これだけは医者に注意されてもやめられない』というほどお酒が大好きでしたが、最近はゴミの中にお酒の瓶も入ってなかったので、いよいよお迎えが近いのかとも思ってました」
どっこい、爺さんは元気だった。秋田県出身で、若い頃は建築現場で働いていたようだ。
女性が続ける。
「若い頃に秋田から東京に出てきて、成田空港や都心の有名なビルの建設にも関わっていたと言っていました。秋田訛りの抜けない朴訥な喋り方で、職人気質の男らしいところもあり、田舎者だけど明るいおじいちゃんという印象です。
足腰も悪くて、杖は持っているけど使い慣れないとかで、自転車を押して歩くことが多かったようです。それでも自分で買い物にも行くし自炊もしていて、まだ介護のお世話にはなってませんでした。ギターが趣味だったみたいで、たまにアコースティックギターの音がボロンボロンと聞こえてました。最近も弾いてましたよ」

送検される秋田容疑者 FNNより
角刈りで体格も良く、彫りの深い風貌でギターも嗜むとあっては、若い頃はさぞかしモテたことだろう。
「去年の秋、長く付き合っていた女性が亡くなったと聞きました。普段はベラベラと話すタイプではないのに、その時は堰を切ったように亡くなった女性の話をして度々『すごく辛い』と漏らしていました。持病を抱え、好きな人にも先立たれてとても気の毒なので、なるべくお裾分けの余裕があれば訪問するように心がけていて、毎回『どうもどうも』と笑顔で受け取ってくれたので、少しは立ち直ってくれたのかと思っていたのですが…」

秋田容疑者が住む集合住宅
「施設のお世話になろうかと思う」と言っていたのに…
この女性の親切で立ち直ったのか、それとも元気のないフリをしていただけなのか。
高齢者の訪問担当に従事する江戸川区職員に秋田容疑者は殊勝な顔を見せていた。
「この集合住宅には住み込みの介護の方がいて、週に2回、住民に異変がないか訪問するサービスがあったんですけど、辞めてしまいまして。現在は区の職員が代わりに訪問するようになりました。秋田さんは、最近は歩くのも辛くなっていた様子で買い物も大変で『とうとう介護の事業所に相談に行ってきたよ。施設のお世話になろうかと思う』とおっしゃるので、『それがいいかと思います』と返答しました。最後にお会いしたのは、先週の木曜日で、お元気ですかと尋ねると『江戸川病院で腰に注射を打ってもらったら足腰がラクになった』とホッとした表情をしていらしたのですけどね」(江戸川区職員の男性)
足腰が悪いのは事実で、被害女性もその介護も兼ねて秋田容疑者宅を訪れていたと思われる。それでもなお「枯れない」源泉を持っていた82歳。前出の近隣女性は複雑な表情を見せた。
「たびたび秋田さん宅から若い女性の声が聞こえたので、付き合ってた女性の娘さんが様子を見に来てくれてるのかなと思っていました。秋田さんとは『誰にも迷惑をかけないよう色々と準備はするけど、もし何かあったらお互い様だし支え合おうね』と『終活』についても話し合っていました。実際に身の回りのものを片付け始めてたり、今まで避けてきた介護のお世話になるための相談にも行ってきたとおっしゃっていました。最後に話したのは1月の半ばですね。ゴミ捨てから戻ってくる秋田さんが『おう、元気か、病院行くのか。気をつけて行ってらっしゃい』と声をかけてくれました」

秋田容疑者が30年以上前に暮らしていたアパートは駐車場になっていた
この82歳の性の「終活」は常人には計り知れない。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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