前例のない他府県拘置所への移送

山上徹也被告を待つ「監視カメラ個室」での“超厳戒”拘置所生活。「運動は平日30分」「入浴は週2回」「読書、手紙、差し入れもOK」_1
2月14日、奈良西署を出る山上徹也被告
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奈良県警の取り調べが終了したことに伴い、山上徹也被告(42)は、2月14日、身柄を大阪拘置所に移された。被告人が裁判所管轄所在地でない他府県の拘置所に収容されたケースは前例がなく、なぜ、このようなことになったのか? 一言でいうなら警備上の問題による特例であろう。

本来ならば奈良地裁所在地にある奈良拘置支所に収容すべきところだったが、京都拘置所の支所として2022年7月に新設竣工した奈良拘置支所は職員数30名弱であり、デモ等の有事の対応がおぼつかない。

そこで検察庁と法務省が協議し、警備力に勝り、問題被収容者の処遇にも慣れている大阪拘置所に身柄を移すことを決めたのだろう。鑑定留置をした拘置所であり、いずれ一審判決後に控訴すれば収容される拘置所でもある。

法務省としては、名古屋刑務所の若年職員複数による受刑者に対する常態的な暴行等が発覚したこと、月形刑務所の病人受刑者放置による死亡事故の高額損害賠償和解事件などが公表され、行刑に対する不信感が助長される中、有名被告人・山上徹也についても処遇上、警備上の問題を憂慮しての決断だったのだろう。